ベテランが現役続行にこだわる理由。“満足しきれぬ”野球人生…村田・松坂らに立ちはだかる若手とサラリーの壁【小宮山悟の眼】
12球団合同トライアウトが終わり、来季の陣容が固まってきた。その一方、戦力外通告を受け、現役続行を希望している選手で所属先が決まらない選手もいる。私自身、現役時代に米国から帰国して、1年のフリー期間を経て39歳になる年に日本球界に復帰した。そのため、現役続行にこだわる選手の気持ちは理解できる。彼らの可能性について考えたい。
2017/12/02
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所属先決まらぬ松坂世代、確固たる自信があるなら現役続行を
現役続行を希望するも所属先が決まっていないのは名のある選手で言うと、村田修一(元巨人)や梵英心(元広島)、松坂大輔(元ソフトバンク)、久保康友(元DeNA)たちだ。1980年4月2日から1981年4月1日までに生まれた、いわる「松坂世代」。「まだやれるんじゃないか」という見方はあるだろうし、このままユニホームを脱ぐのはもったいない選手だと思う。
しかし、雇う側の立場なら、彼らと同じ能力で若い選手がいたら、その可能性に賭けたいと考えるだろう。村田らのキャリアは十分に分かっているが、これからの伸びしろを判断すると若手を選ばざるを得ないというのが現実的な話だ。
40歳近くの年齢になっても現役続行を希望する理由は、まだ選手として満足しきっていないからだ。
私の場合だと、MLBから帰ってきた年にFAの問題もあって1年間の浪人期間があった。それでも、「もう1回、先発で投げたい」という気持ちが強かった。米国では自分の本来、得意とする役割とは違うことをやっていたという意識があった。
メジャーでは不慣れなブルペンという役割で結果を出せなかった。それはプロとして負けなのだが、3週間ほど過ごしたマイナーの3Aでは先発投手として抑えられていた。だから「先発でまだいける」という想いがあったので1年待ってロッテに復帰した。
(松坂)大輔や久保はまだ37歳だから自分で活躍ができるという確固たる自信があるなら続けた方がいいだろう。
個人的な意見だが、12球団の戦力を見渡したときに、彼らを必要な戦力としてカウントする可能性はあると思う。若い選手には可能性があるからそれに賭けたいというチームがある一方、その場しのぎで戦力を整えたいというチームはあるはずだからだ。
例えば、ルーキーや2、3年目の若手が1軍で登板するまでに、あと1~2年欲しい。そのつなぎで穴を埋めたいという考えなら、彼らを獲得することは考えられる。これはドラフト会議でどの程度の選手を獲得したかによって変わってくる。