本塁打が旗に…、打順間違え…。判定はどうなる?【意外と知らない野球ルール3問クイズ】
野球には、様々な状況を想定した「公認野球規則」がある。このルールブックによって、想定外と思われるような珍場面でも公正な判定を下すことができる。今回は「名珍場面から振り返る野球のルール」(カンゼン、2014年4月刊行)より、難解な野球規則を過去の事例からクイズ形式で出題する。(2017年12月11日配信分、再掲載)
2020/03/27
Getty Images
正解は…
C:打者走者が一塁走者を追い越したとき、三塁走者はホームを踏んでいたため1点が入る。
2004年9月20日、日本ハム対ダイエー。同点で迎えた9回裏2アウト満塁で、打席には新庄剛志選手。初球をとらえたあたりは、レフトスタンドへ一直線。文句なしのサヨナラ満塁弾だった。ところが、一、二塁間で一塁走者の田中幸雄選手と抱き合い、そのままクルリと回転。つまり、新庄選手が前を走っていた田中選手を追い越した形になってしまった。
公認野球規則を確認しよう。
7.08「次の場合、走者はアウトになる」の(h)項に、「後位の走者がアウトになっていない前位の走者に先じた場合。(後位の走者がアウトになる)」とある。 さらに【注1】として、「ボールインプレイ中に起きた行為(たとえば悪送球、ホームランまたは柵外に出たフェアヒットなど)の結果、走者に安全進塁権が認められた場合にも、本項は適用される」
以上のことから、新庄選手はアウトになることがわかる。問題は、得点が入るかどうか。ポイントは、三塁走者がいつホームを踏んだか。このときは、新庄選手が追い越す前に、ホームを踏んでいた。
4.11(C)の【付記2】に書かれているのが「2アウトの場合で、走者が前位の走者に先じたときに勝ち越し点にあたる走者が本塁に達していなければ、試合は終了せず、追い越すまでの得点だけが認められる」
もし、三塁走者がホームに達していなければ、無得点になっていた。
なお、新庄選手の記録はシングルヒットで打点1。かりに2点ビハインドであれば、サヨナラ満塁ホームランのはずが、1点及ばなかったということになる。