いま最も楽しみな男、鈴木誠也。掴みかけた一流への感覚。2018年は新たなる覚醒へ
広島東洋カープ・鈴木誠也外野手は、今季序盤から4番を任され、8月に右足首を骨折するまで115試合に出場して打率.300、26本塁打、90打点とリーグ連覇に貢献した。ケガからの復帰を目指す鈴木は、来季どんな活躍を見せてくれるのか。
2017/12/28
手応えを感じた一方、シーズンが終わった8月23日
確かな手ごたえを感じていたのに、広島東洋カープ・鈴木誠也の2017年シーズンは昨季より2カ月も早く幕を閉じた。
8月23日の対DeNA戦。
鈴木は、戸柱恭孝の右中間への打球を追った。ジャンピングキャッチでボールをグラブに収めたが、その際に右足首を痛めた。「最低、じん帯はいったなと思いました。骨折していたのは予想外ですけど、軽いけがではないことは分かった」。そして、その後のシーズンを棒に振った。
全力プレーでのけがは仕方ないが、何より痛手だったのは、このけがをする前の1打席目、プロ入りして初めての不思議な感覚をつかみかけていたことだ。
「センター前ヒットだけを打とうと思って打席に入っていたんです。そしたら、少し詰まりながらも身体がくるっと回転して左翼スタンドまで飛んで行きました(今季26号)。“これや”って思いました。ずっと試行錯誤しながら探していた初めての感覚。“来た”と思った瞬間、足にもきてしまいました」
今季は鈴木にとってターニングポイントになるシーズンだった。
まず、開幕前のワールドベースボールクラシック(WBC)出場だ。メジャーリーガー・青木宣親らさまざまな選手と話ができたことは非常に勉強になったという。
「一流になってくると、持っている感覚がすごいのでマネはできない。みなさんが仰っていたことは分かるし、あのレベルになると、深く考えて打っているんだなと思いました。いまは自分にできなくても、一度聞いておくだけで後々その感覚が出てくるかもしれない。頭に入れておけば、あのとき、そんなことを言っていたなというのを思うかもしれない。そのための引き出しになりました」
偉大な先輩たちの言葉に心酔し過ぎず、切り捨てもしない。自分の中にかみ砕いて取り込んでいこうという姿勢は、常に高いレベルを目指そうとしている鈴木ならではの発想力といえる。
外国人投手対策もWBCを戦った中で大きな経験値となった。
「外国人投手を苦にしなくなりました。海外の選手は身長が大きいし、球が強い。WBCでは投げ方がごちゃごちゃしていて、怖さがあったんですけど、そういうのを経験して慣れたのはあるかもしれないです。僕にとって外国人投手の対応が課題でもあったんですけど、WBCで経験させてもらって、気持ちに余裕を持って入れるようになった。結果が出る・出ないではなく、苦手意識がほとんどなくなりました」。