いま最も楽しみな男、鈴木誠也。掴みかけた一流への感覚。2018年は新たなる覚醒へ
広島東洋カープ・鈴木誠也外野手は、今季序盤から4番を任され、8月に右足首を骨折するまで115試合に出場して打率.300、26本塁打、90打点とリーグ連覇に貢献した。ケガからの復帰を目指す鈴木は、来季どんな活躍を見せてくれるのか。
2017/12/28
常に成長を求める鈴木、“4番”で得た感覚
次なるターニングポイントは、4月25日から務めた4番だ。
シーズン開幕後、WBC戦士は「後遺症」とも呼ばれる不調に陥ったが、鈴木は全くの無縁だった。前年に逃した日本一へ向けてチームが一つになっていたことに加え、4番を務めることになり、これが彼自身を大きく変えた。
当初、鈴木は「4番」というポジションを「打席が多く回ってくる」程度にとらえていた。しかし、試合を重ねるうちに、このポジションがいかに打者にとってかけがえのないものであるかに気づいた。
「去年までだと、相手チームの投手交代は、僕まで投げた後が多かったんです。今年は僕のところで代わることが増えた。マウンドにいる投手をイメージしていたのに交代する。それも僕があまり得意じゃない投手をぶつけてくるので『うわっ』と思うときが何度もありました。そういうことの連続でアジャストするのが大変だった」
「4番の重責」とよく言われる。しかし、鈴木はその重責以上に「4番には1打席1打席を本気で抑えに来られるハイレベルな戦いがある」ということを痛感した。その経験が成長の糧となることを知ったのだった。
もともと、鈴木は結果として表れる数字を気にしていない。
何本ホームランを打った、何割だった、打点はいくつだったというより、「自分はこの1打席で、前の打席より進歩できたのか」という求道者のような思考が鈴木の中にはある。 成長できているかが一番大事なものさしで、それは試合展開に関わらず、5打席なら5打席すべてで考えることなのだという。
「4番は常にレベルの高い投手との対戦があるので、成長を感じることができる打順でした。楽しいですよ、4番は」と鈴木は言う。
好投手との対戦経験、そして、試行錯誤の繰り返しが8月23日の1打席目に繋がったというわけである。