2死でボールをスタンドに、打球が審判直撃…判定はどうなる?【意外と知らない野球ルール3問クイズ】
野球には、様々な状況を想定した「公認野球規則」がある。このルールブックによって、想定外と思われるような珍場面でも公正な判定を下すことができる。今回は「名珍場面から振り返る野球のルール」(カンゼン、2014年刊行)より、難解な野球規則を過去の事例からクイズ形式で出題する。(2017年12月29日配信分、再掲載)
2020/04/01
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正解は…
A:ボールデッドで各走者は2つの安全進塁権を与えられる。
2003年5月21日、福岡ドームで行われた巨人対ヤクルトで珍プレーが起きた。
6回表1アウト一、二塁でヤクルトの鈴木健が放ったレフトフライを、巨人のクリス・レイサムが捕球。2アウト一、二塁となるはずだったが、何とレイサムが捕球したボールをレフトスタンドに投げ入れてしまった。3アウトと勘違いしてのファンサービスだった。
この場合、どのような判定となるのか。
公認野球規則7. 05「次の場合、各走者(打者走者を含む)は、アウトにされるおそれなく進塁することができる」を示した7. 05(g)(2)の項に、こう記されている。
「2個の塁が与えられる場合――送球が、競技場のフェンスを越えるか、くぐるか、抜けた場合。――この際はボールデッドとなる」
「送球」とは、味方の野手に投げるものという印象が強いが、野手の手から離れたものは全て送球という考えになる。スタンドに投げ入れたとしても、送球になるということ。これによって、二塁ランナーの宮本慎也がホームを踏み1点。そのあと、2アウト三塁で試合続行となった。
この試合は結局、巨人が2対1でヤクルトを下すが、もしレイサムのボーンヘッドがなければ、先発の高橋尚成は完封勝利だった。
7. 05(g)(2)がよく適用されるのが、野手の各塁への送球が悪送球となり、スタンドに入ったとき。走者一塁でショートゴロ、この送球がスタンドに入った場合は、二、三塁で再開となる。