サヨナラ弾後に負傷…、「逆走」で塁踏まず…判定はどうなる?【意外と知らない野球ルール3問クイズ】
野球には、様々な状況を想定した「公認野球規則」がある。このルールブックによって、想定外と思われるような珍場面でも公正な判定を下すことができる。今回は「名珍場面から振り返る野球のルール」(カンゼン、2014年刊行)より、難解な野球規則を過去の事例からクイズ形式で出題する。(2018年1月3日配信分、再掲載)
2020/04/06
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正解は…
C:特別に「代走」が認められる。
ホームランを打った選手がダイヤモンドを1周しようとしている間に、足を故障して、動けなくなってしまう…。ありえないような話だが、実際に起きたことがある。
1991年6月18日、ナゴヤ球場で行われた中日対大洋。同点で迎えた10回裏、代打に送られた中日の彦野利勝が、大洋の投手・盛田幸妃からレフトスタンドへ弾丸ライナーのホームラン。ところが、一塁ベースを回った直後、彦野が右膝の靭帯を痛め、その場に転倒。一歩も動けなくなってしまった。
このようなアクシデントの際は、代走を送ることが許されている。根拠となるのは、公認野球規則5.10の(c)である。
まず、5.10は「審判員が“タイム”を宣告すれば、ボールデッドとなる。次の場合、球審は“タイム”を宣告しなければならない」
(c)項には「突発事故により、プレーヤーがプレーできなくなるか、あるいは審判員がその職務を果たせなくなった場合」とある。
そして、【付記】として「プレイングフィールドの外への本塁打、または死球の場合のように、1個またはそれ以上の安全進塁権が認められた場合、走者が不慮の事故のために、その安全進塁権を行使することができなくなったときは、その場から控えのプレーヤーに代走させることができる」
この彦野選手のケースでは、山口幸司が代走としてホームを踏んだ。彦野に「本塁打1」、山口に「得点1」が記録される。