50敗しても90勝できる――落合GMが監督時代に実践した、ペナントV逆算方式の星勘定
いよいよ2015年のペナントレースが開幕する。セリーグのペナント争いでカギを握るのは中日ドラゴンズではないだろうか。選手兼任の谷繁監督がどこまで監督の視点に立てるのだろうか。なお、2004年から8年間チームを率いた落合博満監督は、「スロースタートの追い込み型」で戦った。
2015/03/24
“チームの戦い方”を確立できるか?
5月に入ってエンジンが温まってきたところでも、一気に3連勝を狙うのではなく、2勝1敗でコツコツと勝率.500を目指していく。ただ、実際には開幕から1勝2敗が続くわけではなく、1勝2敗と2勝1敗を繰り返しながら+でも-でも5つ程度なら自分たちのペースに持ち込める。その次の段階で考えるのは、「50敗はする」という逆算方式の星勘定だ。
「どんなに強いと言われても、日本のプロ野球で100勝したチームはない。ならば、140試合とすれば50敗しても90勝できる。それでも十分過ぎる優勝ラインでしょう。だから、50敗するまでは勝率.500で十分と考え、50勝50敗で100試合。残り40試合で他球団の勝敗を見ながら、うちとの勝敗、残りの試合数なども考えてラストスパートの戦略を立てる」
そうやって“チームの戦い方”を確立したことが、大きな連勝がなくても常にAクラスをキープし、クライマックスシリーズでもファイナルステージを戦い続ける安定感になったのだろう。髙木守道監督に代わった2012年は、そうしたチームの戦い方の土台となる春季キャンプの内容が、残念ながら少し緩んでしまった。それでも、その年は前年の貯金で2位に食い込めたが、翌2013年はキャンプの効果が出ずに4位に沈み、谷繁元信監督が就任した昨年も、前年のキャンプで土台を築いていなかったことが夏場の失速につながった。そう考えれば、昨年から厳しいキャンプを実施した成果が、今季から再び戦い方に反映されると見ることができる。
あとは、選手兼任である谷繁監督が、監督の視点でどう舵取りできるかだ。
選手というのは、どうしても目の前の戦いに負けたくないという本能がある。グラウンドでプレーしている以上、谷繁監督に“勝ったり負けたりしながら勝機を見出す100%の監督思考”を求めることはできないだろう。万が一、カード3タテなど連敗した時の対策、故障者が出て苦しくなった際の対応など、指揮官の手腕が問われる局面でどこまで“監督になり切れるか”。それができると評価されているからこそ、選手兼任監督なのだと思うし、昨年の経験も生きるはずだという期待も持てる。そうして、野村克也監督兼捕手でパリーグを制した1973年の南海(現・福岡ソフトバンク)以来、実に42年ぶりにプレイングマネージャーが宙に舞う姿を見せてもらいたい。
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