SBゲレーロ通訳「いつか日本で指導者に」。一軍登板は叶わずも、新たな夢を掴むため【インタビュー】
NPBでプレーする外国人選手は、様々な事情や思いを抱えている。現在、福岡ソフトバンクホークスで通訳を担当しているウィルフィレーセル・ゲレーロ氏は、かつて広島東洋カープの練習生として来日した経歴を持つ。ゲレーロ通訳は、目標だったNPBでの一軍登板は叶わなかったが、日本での新たな夢のために邁進している。(取材・文:高橋康光)
2018/02/03
Yasumitsu Takahashi
「日本の一軍でプレーするという夢は捨てきれませんでした」
――それから3シーズンを高知と愛媛マンダリンパイレーツで過ごしたわけですね
「ええ、この時はチームにいるドミニカ人選手たちにとって自分は兄貴分だったようで”キャプテン”なんて呼ばれていましたよ」
――この頃には日本語のできないドミニカ人選手の通訳もされていたということですが、そもそも日本語はどうやって習得されたのですか?
「人と話すのが好きというのもありますが、来日当初は「これは何?」「あれは何?」ととにかくたくさん質問をして色々な単語を覚えました。あとはテレビですかね。『ドラゴンボール』とかアニメを見たり、日本のコメディを見るのも好きですよ。J-POPも聞きます」
――2015年に愛媛を退団して、昨年ホークスと契約するまでの間は何をされていたのですか?
「地元のアカデミーで子供たちを指導しながら、自分の練習を続けていました」
――当時すでに30歳になろうという頃でしたが、野球を辞めようという思いはなかったのですか?
「前回の帰国時は確かに落ち込んでいましたが、この時はそんな気持ちはなかったですね。日本の一軍でプレーするという夢は捨てきれませんでした」
――そんな中で、ホークスから選手ではなく、通訳というポストでのオファーが届きました。どういう気持ちでしたか?
「率直にうれしかったですし、感謝しています。家族のためというのもありますが、また日本に行けるというのが本当にうれしかったです。迷わずに話を受けました」
――旧知の仲だったというホークスの萩原健太中南米スカウトが、真面目な人柄や日本語力を考慮するとあなたしかいないということで推薦されたということですが
「本当にありがたいことです。真面目なのかはわかりませんが、両親からきちんと規律を守るようにと教育してもらったおかげかもしれません」