ヤクルト、“宮本節”でぬるま湯脱却へ。フロントの愚考も翻意…ヘッド就任の効果は?
昨季セ・リーグ最下位に沈み、球団最多の96敗を喫した東京ヤクルトスワローズ。コーチングスタッフの改革を行って臨む春季キャンプは、これまでのソフト路線は見る影もなく、選手たちは厳しいメニューに取り組んでいる。強いヤクルト復活に心を砕いているのは宮本慎也ヘッドコーチだ。
2018/02/07
ぬるま湯にピリオド、12球団で最も厳しいキャンプ
ぬるま湯のチーム体質にピリオドが打たれた。東京ヤクルトスワローズの宮本慎也ヘッドコーチが沖縄・浦添春季キャンプで連日、選手たちに猛烈な尻叩きを敢行中。ほぼ毎日、選手たちは約10時間の過酷な練習メニューを消化しながら大量の汗を流し続けている。
各メディアから注目を集めるスワローズの春季キャンプをのぞいてみた。すると確かにここ数年、浦添市民球場ではほとんど聞かれなかった凄まじい怒声がスタンドにいても分かるぐらいのボリュームで響き渡っている。これは、本当に大きな衝撃であった。
ここですべての言葉を克明に記すことが、思わずはばかれるぐらいに手厳しいトラッシュトークまがいの“宮本節”が疲れの見え始めた選手たちに容赦なく向けられていた。しかし、そこには重苦しいムードなど皆無。むしろ各選手たちの表情は充実感でいっぱいだった。燕の主砲・山田哲人が率先して長時間に渡る猛練習に取り組み、他の燕ナインもそれに負けまいと日が沈んで以降も自らの身体をイジめ続けている。
スワローズを長年取材しているベテラン記者の誰もが「ここまで自分を追い込んで練習するキャンプは長い歴史上でも始めて」と口を揃えているという。なるほど、長い時間だけでなく練習の密度もここまで濃いレベルの春季キャンプは記憶にない。断っておくが、これは大げさでも何でもなく、いずれにしてもハッキリと言い切れるのは現時点での12球団春季キャンプの中で最も厳しいメニューをスワローズの面々がこなしているということである。
近年のスワローズはソフト路線がチームカラーのようになり、選手たちにも浸透していた。直近では2015年シーズン、真中満前監督が指揮を執った1年目の時代にリーグ優勝も遂げている。しかし燕のソフト路線は一時にそれなりの結果を残すこともあったとはいえ「常勝軍団」と呼ばれるような真の強さを持続させるための基盤作りには至っていないのが現状であった。