異色の経歴、育成ドライチ「和ギータ」の潜在能力。井口監督へ披露した悔いなき一振り【マリーンズキャンプ通信2018#2】
首脳陣の前で豪快な一発を決めた千葉ロッテマリーンズ・育成ドラフト1位の和田康士朗。異色の経歴はドラフトでも注目を集めたが、早速キャンプで潜在能力の片りんを見せつけた。
2018/02/08
千葉ロッテマリーンズ
フルスイングへの想い
誰もが目を見張る強烈な一発だった。千葉ロッテマリーンズ育成ドラフト1位の和田康士朗外野手が春季キャンプ中の2月6日、シート打撃で本塁打を放った。チャイニーズ・タイペイ代表にも名を連ねるなどの実績を持つ同僚のチェン・グァンユウ投手からのアピール弾。若者が見せた鮮やかなフルスイングはインパクト抜群だった。
「外野フライかと思って全力で走ったら、入りました。自分のスイングは出来たと思います。自信になりました」
新体制となり一、二軍の枠が撤廃されて迎えた春季キャンプ。井口資仁監督をはじめ首脳陣、そして先輩選手たちの前で19歳の育成選手は躊躇なく持ち味の豪快な一振りを披露した。これには指揮官も「育成選手としてなんとかアピールしたいという気持ちが伝わってきた。支配下になりたいと必死。あれだけ振れるのは素晴らしい。まだまだ体は細いから、体を作っていけば十分、一軍でやれる可能性のある素材じゃないかな」と称賛を惜しまなかった。
フルスイングはホークス柳田悠岐外野手をイメージしたものだ。独立リーグ・富山サンダーバーズ時代に打撃動画をYouTubeで食い入るように見てはフォームとスイングを参考にした。「自分も悔いが残らないように」といつもどんな時も柳田ばりのフルスイングを繰り返した。豪快な振りを繰り返す姿に富山時代のチームメートでホークス在籍経験もあるエディソン・バリオス投手(現DeNA)から柳田の愛称の「ギータ」と和田の名字をとって「和ギータ」と命名されたほど。そしてマリーンズのスカウト陣の眼に留まり、昨年10月に行われたドラフト会議の育成1位で指名された。
かすかなチャンスをものにして支配下登録を目指すその眼はハングリーそのものだ。だからこそ多くの観客やマスコミの視線が集まるメイン球場で行われた実戦の場で結果を気にすることなく力一杯のフルスイングを見せ、結果を出して見せた。独立リーグ時代を思えば今の環境はすべてにおいて恵まれている。練習をいくらでもしようと思えば出来る。練習を手伝ってくれるスタッフもいれば、ボールに不自由することもない。食事も一日3食提供される。独立リーグ時代は家賃9800円の市営住宅住まい。月給は手取りで10万円に届かなかった。わずか1年とはいえ、その環境の差に感謝し、悔いなきスイングを心がけている。