斎藤佑樹よ、何をしているのか? 伝わらない理想像。努力は分かるが…。好転させるには?【小宮山悟の眼】
プロ野球の春季キャンプが始まり、ファンにとっては心躍るシーズンが到来した。球界は多くのキャンプのニュースで盛り上がりを見せている。そんな中、気がかりなのは背水のシーズンを迎える北海道日本ハムファイターズの斎藤佑樹投手だ。
2018/02/11
斎藤に期待された伸びしろ、現状は停滞気味
斎藤が目指さなければいけないポジションは、1軍のローテーションとして結果を出すことだ。幸い、日本ハムの投手陣は4、5、6番目ローテが確立しきれていない。そのローテに入るために、他の候補となる投手と自らを比較し、競争に勝つためにどうすべきか考えなければならない。
現状での一番の近道は、ひざくらいの高さに動くようなボールをコンスタントに投げることができるかどうかだと思う。
しかし、斎藤はそれをしない。本人なりに目指すところがあるからだろうが、周囲に伝わっていない。客観的にみて目指す投手像がわかるようにならない限り、ファイターズファンや斎藤を応援している人にとっては「また今年も同じじゃないか」となってしまう。
プロ野球で活躍している投手は、抑えることもあれば打たれることもある。その繰り返しのなかで、若干、抑えることが多い投手が結果を残しているにすぎない。そう考えたら、何をどうすべきなのかを冷静に考えなければならない。まずは自分の目指すところを形として周囲に示すべきだ。
斎藤は学生からプロに入るまでの間でこれといった指導を受けてこなかった。だから、選手としての伸びしろはたくさんあったはずだった。しかしながら、現時点は伸びたどころか、横ばい、停滞という位置にいる。本人が目指すところが周りも「なるほど」となるように伝わってくれば、まだまだ活躍できる。どんなきっかけで人は生まれ変わるか分からない。打ち取るコツを掴めば、ローテーションの1番手くらいの位置までいけるだろう。
甲子園で優勝して一時代を築いた。そのことを世間が忘れずにいてくれていることはありがたいことだ。中日ドラゴンズ・松坂大輔の成功ポイントにしても「壊れてもいいくらいの気持ち」ということを書いたが、斎藤もそれと似た気持ちが必要だ。
捨て身でいくくらいの気持ちになれるか。
小宮山悟(こみやま・さとる)
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。