運命を変えた「銃弾所持事件」。元ロッテ助っ人が語る日本球界での苦悩【インタビュー】
NPBでは、毎年多くの助っ人外国人選手が入団する。成功を遂げる選手もいれば、期待外れに終わる選手も少なくない。その要因は様々だが、選手本人は日本球界、日本社会についてどのように感じたのか。母国ドミニカ共和国のウインターリーグに参加した2選手に話を聞いた。今回は全2回の第2回。(取材・文:高橋康光)
2018/02/11
Yasumitsu Takahashi
「地震だけは唯一ダメだったね(苦笑)」
2016年シーズンにロッテでプレーしたヤマイコ・ナバーロは、フアン・フランシスコ(元巨人)とともに先ごろ全日程を終了した母国ドミニカ共和国のウインターリーグで、名門ティグレス・デル・リセイの一員としてプレーした。
ヤマイコ・ナバーロは、ロッテに加入する前の2シーズン、韓国のサムスン・ライオンズで大活躍を見せたこともあり、日本でも同様の活躍を期待されたが、思わぬ落とし穴にはまる。
来日してまもなく、移動先の那覇空港にて、手荷物の中から拳銃の実弾が発見され逮捕。不起訴処分となったものの、3月中の試合出場停止、開幕後の4週間の出場停止というペナルティが課された。ここでの出遅れも影響したのか、出場82試合、打率.217、10本塁打という消化不良な成績を残して日本を去ることとなった。
――日本でのプレーを振り返ってみてどうでしたか
「その前の韓国での2年も含めて、自分にアジアで野球をする扉を開いてもらい、本当にいい経験だったよ」
――韓国での活躍もあり、多くの日本のファンが活躍を信じていました
「オープン戦でホームランを打ったりして出だしはよかったんだ。ただ自分の身に起きたことは起きたこととして受け止めている。人は常に何かが起きると心を乱すものだし、自分が日本で経験したことに胸を痛めていることもある」
――日本と韓国の野球に違いがあったのでしょうか
「同じ“野球”であることには変わりはない。でも、投手のレベルは日本の方が高いと思う。日本のピッチャーは3ボール0ストライク、2ボール0ストライクといった状況で、変化球で簡単にストライクを取ってくる。例えばここ(ドミニカ)ではそうした状況ならば80%は直球が来ると思って間違いないんだ。日本のピッチャーとの対戦はハードだったね」
――では、日本での生活はどうでしたか
「素晴らしいものだったね。ただ、地震だけは唯一ダメだったね(苦笑)。この国ではまず地震はないし、人によっては眠れなくなったりとか聞くし、本当に怖かった」
――もう日本なんて行きたくないとでも思っているものかと
「いやいや、全く逆だよ。チャンスがあればまた行きたいと思っているよ。素晴らしいリーグであることは分かったし、日本の投手と対戦したり、指導法などを学ぶことを通じて選手としても成長できるしね」