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日本一詳しい2軍キャンプ中継で見せた、田中幸雄前2軍監督の親心【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#69】

今年のGAORAのファイターズキャンプ中継は1軍キャンプこそ一歩後退したが、一方で日本一詳しい2軍キャンプ中継が誕生した。解説を務めるのは、田中幸雄前2軍監督だ。

2018/02/10

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一歩後退した1軍キャンプ中継だが……

 今年はちょっと面白いキャンプ報道になっている。本稿執筆現在、第2クールが終わったところだが、ものすごく地味なのだ。有原航平と中田翔、投打の柱が右肩痛でノースロー調整ということもある。それに輪をかけマスコミ各社が困っているのは、黄金ルーキーの清宮幸太郎が右手親指打撲の影響で、ずっと打撃練習を回避し、フィジカルトレーニングと守備練習ばかりやっていることだ。これは「衝撃のサク越え○発!」「大リーグスカウトも仰天!」と書きたくてうずうずしてる記者さんもすっかりアテが外れた。
 
 一方、ハム党が最も頼りにしてきたGAORAスポーツのキャンプ中継に今年は異変があった。基本的に国頭(くにがみ)の2軍キャンプ中継なのだ。アリゾナ州スコッツデールの1軍キャンプはVTR編集されたレポートが入るだけ。しかも、その半分は(打撃練習を回避している)清宮の点描に割かれるからちょっと1軍パートが薄すぎるきらいがある。GAORAに何があったのか。いちばん考えられるのは経費削減だが、もしかしてうちの球団、新手のビジネススキームを考えて、1軍キャンプは別の動画配信になってやしないだろうなと一応調べてみたりした。どうもそういうことでもなさそうだ。
 
 これはGAORAのスタッフに伝えたいのだが、僕らハム党はGAORAのキャンプ中継を誇りにしている。『亀ちゃん光ちゃんのタイガース&ファイターズキャンプTV!』という2球団あいのり60分番組からスタートして、ぐんぐん長尺化し、企画構成力や中継ノウハウを蓄積していったのをつぶさに見てきた。他球団のファンからいつもうらやましがられるのだ。「GAORAのファイターズキャンプ中継は素晴らしい。うちもあんな風にならないかな」「日ハムファンはあれがフツーだと思っているでしょう。あれは恵まれてるんですよ」。
 
 初めてアリゾナ州ピオリアから生中継を出した2016年はすごかった。現地スタッフも不慣れだし、絵が映って音声が出ただけで感動した。衛星放送事始めかと思った。また初日が(温暖なはずのピオリアなのに)大変な寒さで、出演者が薄手のダウン着て震えてるんだ。その「寒い寒い」言ってる生中継(初回放送はもちろん生だ)を真夜中ずっと見ていた。真夜中やる意味なんて考えなかった。ときどき現地スタッフが何か英語で言ったかと思うと映像が落ちたりして、逆にリアルな感じがした。不断のチャレンジ&チャージ。GAORAのキャンプ中継はずっと攻め続けてきたのだ。
 
 それが2018年、初めて一歩後退した。アリゾナには最低限のスタッフとレポーター(建山義紀さん等、解説者が務める)を向かわせる。キャンプ中継最大の魅力である「延々、映しっぱなし」を断念し、スポーツニュース程度の編集映像&インタビュー映像を毎日出す。
 
 しかし、GAORAの面白いところは「延々、映しっぱなし」をあきらめなかったところだ。2軍の国頭でやった。日本一詳しい2軍キャンプ中継が実現してしまった。具体的に何が見られるかというと、新任の飯山裕志コーチのノックが毎日、フル尺で見られるのだ。ルーキーの難波侑平が内野手の基本を叩き込まれるさまをじっくり味わえる。これはこれで僕なんかにはたまらない魅力だ。まぁ、大方のファンは1軍をもっと映してほしいだろうが、こっちのほうが珍品だと思う。今井順之助の坂道ダッシュなんてなかなか見られないよ。

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