「黄色を使ったりね(笑)」。最強の遊撃手、松井稼頭央。その“かっこよさ”の理由【球界男前列伝】
いつの時代でも、プロ野球のグランドには男前がいる。その姿、そのプレー、その言葉…老若男女を魅了する彼らは、どのような信念を持っているのか。第2回は“史上最高の遊撃手”、松井稼頭央選手。(取材・文:海老沢純一)
2018/02/27
Kana Yamagishi
「ぱっと見て、『あ、松井』とか。そういう風に目立ちたいな」
埼玉西武ライオンズに背番号7が戻ってきた。90年代後半から2000年代初頭、西武の7番には多くの野球ファンが釘付けになった。
遊撃手でスイッチヒッター、走攻守を高次元で兼ね備えるプレー面はもちろん、「ちょっと袖を長くしてみたり、色々しましたね。髪型であったり、付けるものであったり」と、本人が語るように、ルーズなユニホームの着こなし、バッティンググローブをはめ直す姿、長髪をなびかせて躍動する姿に少年の心は踊らされた。
「球場でお客さんが来て、すぐに目立ちたかった。背番号でも分かるんですけど、背番号じゃなくてぱっと見て、『あ、松井』とか。そういう風に目立ちたいなって言うのは、若いときにはありましたね」
さらに特徴的だったのは、松井稼頭央自身も「黄色を使ったりね(笑)」と振り返るバット。黄色のバットの中心にはナイキのスウォッシュが刻まれていた。
「当時、1軍に上がったとき清原(和博)さんがナイキさんと契約をしていたので、憧れだったんですよね。僕もナイキさんからサポートしてもらえるような選手になりたいと思って頑張りましたね」
当時、あまり野球界には浸透していなかったナイキのスタイリッシュなイメージは、松井稼頭央のスピード感溢れるプレースタイルと相まって、鮮烈な印象を与えた。