「黄色を使ったりね(笑)」。最強の遊撃手、松井稼頭央。その“かっこよさ”の理由【球界男前列伝】
いつの時代でも、プロ野球のグランドには男前がいる。その姿、そのプレー、その言葉…老若男女を魅了する彼らは、どのような信念を持っているのか。第2回は“史上最高の遊撃手”、松井稼頭央選手。(取材・文:海老沢純一)
2018/02/27
Kana Yamagishi
「一番難しかったのは本塁打」
「僕の場合は走る方からスタートしているので、走ることはかなり意識しましたね」
プロ3年目の96年に50盗塁、4年目の97年には62盗塁で盗塁王を獲得した松井稼頭央の原点は、抜群の瞬発力によって発揮される走力である。
「走ることでリズムを作ってあげると、打撃も守備も良くなってくると思っていました。打つだけじゃだめだし、守るだけでもだめ。走るっていうのがあって、その中での三拍子と思ってたんで」
その言葉通り、通算4度のゴールデングラブ賞に輝くとともに、長打力も伸ばして99年には15本で自身初となる2桁本塁打を達成。翌00年には23本塁打を記録すると、02年には.332、36本塁打、33盗塁でトリプルスリーを達成した。
「一番難しかったのは本塁打ですね。3割、30盗塁っていうのは可能だと思っていたんですけど、30本っていうのは可能とは言えなかったので」
盗塁王に輝いた97年の本塁打数は7。“俊足の巧打者”というスタイルを確立しながらも長打力を伸ばすのは、ある意味ではスタイルを崩すということとなるが、「やっていくうちに、当てるだけだと面白くなくなって」と笑みを浮かべた。
「当てて内野安打とか、それでやってきましたけど、ちゃんと振れないといけないと思ったんですよ。自分でも(本塁打が)36本とか33本打てるとかは全く思ってなかったですし、なんでそこまで打てるようになったのかも不思議です(笑)」