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「プロ野球は優秀なトレーナーを上手く活かしきれていない」。米コンディショニング専門家はキャンプをどう見たのか

アスリートにとって、体のケアはパフォーマンスや選手寿命に大きく関わる重要な要素となる。世界の様々なプロスポーツチームで日本人トレーナーは活躍しているが、日本のプロスポーツチームはどうなのか。ファンクショナル・カッピング・メソッドの創始者、浅野吉隆氏に話を聞いた。(取材・文:角谷剛)

2018/03/04

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浅野吉隆



「まずは自分自身の身体をよく知ること」

――コンディショニングは選手個人の判断にまかされているってことでしょうか?
 
 「そのようですね。日本ではまだまだ専属トレーナーを持っている選手は少ないのですが、メジャーに来る様な選手は一緒に連れてくる事が多いです。今エンゼルスにいるトレーナーさんも、元々は日本人選手に帯同してきた方で、その日本人選手が移籍した後も他の選手からの要望があって、エンゼルスに残って活躍しているそうです。
 
 そんなケースは他にもたくさんあり、日本人のトレーナーさんは非常に高い技術を持っていると大変重宝がられている様です。だけどそんな優秀なトレーナーさん達を日本のプロ野球は上手く活かしきれていないと思います。
 
 2011年あたりのロサンゼルス・ギャラクシーでは、ヘッド・トレーナーの下にアシスタント・トレーナーが何人もいて縦割り社会になっていますが、ヘッド・トレーナー自身が直接、選手やコーチに積極的にコミュニケーションを取って、選手のコンディショニング向上を図っていましたね。その時の選手はケガも少なくチームもいい成績を残せていました」
 
――メジャーリーグ入りするような一握りのスター選手なら個人のポケットマネーで専属トレーナーを雇えるでしょうけど、もっと若い伸び盛りの選手はそんなわけにはいきませんよね。本来なら、そんな発展途上の選手達こそコンディショニングが重要になるのではないですか?
 
 「その通りです。だから選手一人一人がコンディショニングの知識を持って、自分で自分の身体をケア出来るようにならないといけない。今回はプロ野球の視察だけではなく、ある高校のバレーボール部でもセミナーをしてきました。バレーボールには腸腰筋が大切で、腸腰筋を伸ばすストレッチをしろって監督さんから言われてはいるんです。
 
 でも、腸腰筋ってどこの筋肉って聞くとほとんどの選手が知らなかった。まずは自分自身の身体をよく知ること。それが自分の身体を良い状態に保つアプローチを知ることに繋がります。プロ、アマチュアにかかわらず、私達が目指しているのは選手たちが良い状態で練習に取り組めるお手伝いをすることなんです」
 
 
浅野吉隆氏 経歴
・一般社団法人グローバルアスリートサポート協会代表
・ロサンゼルス南カリフォルニア健康科学大学(Southern California University of Health Sciences)卒業
・米国公認カイロプラクター
・カリフォルニア州公認鍼灸師
・2009年 プロサッカーチーム、ロサンゼルス・ギャラクシーにてメディカル・スタッフとしてプロアスリートのサポートを開始。
・2010年 カリフォルニア州アーバインにて自身のクリニック「浅野カイロプラクティック&鍼灸院」を開業。
・2013年 元メジャーリーガー長谷川滋利氏の練習施設にて、長谷川氏並びにプロアスリートを目指す学生やアマチュア選手のケアを開始。
・2015年 ファンクショナル・カッピング・メソッドを考案。
・2017年 一般社団法人グローバルアスリートサポート協会(GASA)を設立。

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