4連覇危機がささやかれても動じない、原監督の強い精神力
オープン戦は低調で不安視されたジャイアンツ。しかし指揮官に焦りはない。
2015/03/27
指揮官は動じず
しかし、果たしてそう言い切れるだろうか。いや早計ではないだろうか。オープン戦をネット裏から見つめた他球団のスコアラーたちも「それでも巨人は怖い」と警戒心を緩めてはいない。
筆者も同じ見解だ。個人的に言えば特に「怖い」と思わせられるのは、これだけの不安やマイナス要素が散見されながらも原監督が不気味なほどに落ち着き払っていることである。
「合格点はある。用兵もやりたいことをほぼできた。到達点がどこにあるのかは見えないが、非常に可能性を持ったチームだと思う」
オープン戦を終え、大勢のメディアの前でチーム総括を述べた原監督の言葉だ。すべての物事をポジティブにとらえ、冷静に話す指揮官の姿からは風格と自信が漂う。そこには動じている様子など微塵も感じさせなかった。
さらに象徴的だったのは23日に行われた「セ・リーグ ファンミーティング」。開幕戦でぶつかるDeNAの中畑監督からは壇上で「去年ウチに負け(越し)て悔しかったと思うよ。だから私は辰ちゃんの(決めた巨人の)『新成』というスローガンも、それで決めたんじゃないかなと思っている」と〝挑発〟された。
だが原監督はムッとすることもなく笑顔で「今年はいつになく自信満々の中畑さんに見える」と相手を持ち上げる余裕を見せた。同イベントはCS放送でも生中継されていたので、一部始終をご覧になった人も多かっただろう。原監督の切り返しを見て「一本獲った」と思ったのは私だけではあるまい。
このように指揮官が慌てふためいていないのは、やはり他のどんな監督よりも経験値が高いからであろう。思い起こせば、昨季も戦力が最後まで整わず苦しみながらもリーグVをつかんだ。しかしクライマックスシリーズでは屈辱の4連敗。イヤと言うほどに戦いの厳しさを知り尽くす名将だからこそ、シーズンの戦いを長いスパンで考えているのではないだろうか。
戦力が出揃わないならば、今から焦っても仕方がない。それこそ後半戦とポストシーズンでチーム力をピークに持っていけばいい――。おそらく、そう自分に言い聞かせながらVシナリオを描いているであろう原監督のタクトに注目したい。
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