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「モノが違う」。広島の未来を担う新星。ほれぼれする打撃…”打てる捕手”に育成せよ【小宮山悟の眼】

プロ野球の開幕を約3週間後に控え、オープン戦も終盤に差し掛かっている。春季キャンプやオープン戦の視察を通じて、今後が楽しみに思えた選手に注目したい。

2018/03/16

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強肩強打の捕手、育成の成功例は城島健司

 城島健司(元ダイエー、ソフトバンクなど)の成功例が参考になるだろう。城島は強肩強打の捕手としてプロ入りした。“打てる捕手”として注目されていたが、マスクを被るとキャリアの浅さが目につき、しかも入団当初は打てなかった。そんな状況だったが、工藤さん(公康、現ソフトバンク監督)とバッテリーを組むようになり、多くの議論を重ねることで大捕手に成長した。
 
 坂倉の育成に関しても広島は投手力が高いので、投手陣が捕手を育てるという形をとれるのではないか。
 
 さらに、広島には石原(慶幸)や曾澤(翼)といったベテラン捕手がいる。スタメンに坂倉を起用し、試合の終盤に石原たちを使うという手もあるだろう。坂倉にはとにかく先発ローテーション投手のマスクを被らせてほしい。
 
 ベテラン投手が若手捕手と組むのは負担だという話を耳にするが、そんなことはない。基本的な配球は試合前に話し合っているし、試合の流れや雰囲気によっては配球を変えるが、バッテリーの意思疎通ができていれば問題はない。
 
 私はプロ8年目の97年、新人だった清水将海とバッテリーを組んだ。春季キャンプから清水でいくと聞いていたので、どう育てようか考えた。私は清水のリードには首を振らないようにし、本人にも投げさせたい球を要求するように伝えていた。その代わり、私の中で配球が違うと思ったら、わざとボールにしてイニング後に話し合いをしていた。

 捕手と投手で打者から受ける雰囲気が異なり、配球の感覚にずれが生じることがある。しかし、経験を重ねることでバッテリーの呼吸は合ってくる。捕手育成の近道は、とにかくマスクを長いイニング被らせることだ。
 
 ほれぼれするバッティングに加え、捕手としての育成。坂倉はそれほど期待できる存在だと考える。中村の打力が本物ならどちらかをコンバートさせることになるだろうが、それだけ能力の高い2人がいるということだ。
 
 広島にとっては、3年後や5年後、3番中村、4番鈴木、5番坂倉というクリーンアップが描ける。ファンはワクワクして仕方がないだろう。さらに魅力的なチームになっていくはずだ。
 
 
小宮山悟(こみやま・さとる)
 
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。

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