西武・雄星に160キロ到達の予感。日本人左腕初の快挙へ、調整法が裏付ける確かな期待感
埼玉西武ライオンズのエース・菊池雄星投手。昨季は日本球界左腕最速の158キロを記録し、リーグ最多勝、最優秀防御率のタイトルを獲得した。プロ9年目を迎え、菊池が進化し続ける背景には左腕特有の調整法があった。
2018/03/30
左右非対称の身体を理解し、機能性を高める
一昨年のオフからコンディショニング部門の新しいトレーナーと契約。PRI(Postural Restoration Institute)理論という新種のトレーニング方法に基づいて身体を作り上げている。
PRI理論とは人間の身体は左右非対称であるということに着目して、それぞれの動作過程において、特に使われやすい筋肉を抑制し、使われにくい部分を活性化させるというものだ。
人間の身体は内臓などの配置が違い、それが右側と左側の身体機能にも影響を及ぼす。野球は身体の片側を動かしながら、もう片側の方へ体重移動する動作が基本となる。そのため、右投げと左投げ一律にコンディショニング、トレーニングをしたとしても、得られる効果は異なる。そのことをいかに理解して体の機能性を高め、出力していくかがこの理論では重要なのだ。
PRI理論はNBAやMLBの多くが取り入れる最新のトレーニングメソッド。菊池は全米協会認定アスレティックトレーナー(ATC)、NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト(CSCS)などの資格をもつ根城祐介氏のもとでトレーニングし、身体の変化を生むことに成功したわけである。
根城氏は菊池と取り組んできたことをこう語っている。
「筋肉が働き過ぎているところを抑制して、働いていないところを活性化させることに取り組んでいます。これまで頭にインプットされていなかった動作になりますので、コンディショニングから改善しています」