西武・雄星に160キロ到達の予感。日本人左腕初の快挙へ、調整法が裏付ける確かな期待感
埼玉西武ライオンズのエース・菊池雄星投手。昨季は日本球界左腕最速の158キロを記録し、リーグ最多勝、最優秀防御率のタイトルを獲得した。プロ9年目を迎え、菊池が進化し続ける背景には左腕特有の調整法があった。
2018/03/30
進化を遂げる菊池、大台到達なるか
昨季、菊池のストレートが日本球界の左腕最速158キロを計測したのは、このトレーニングの成果が以前までのものに積み重なったからと言っていい。
菊池は言う。
「一昨年までの僕は右の股関節に力をぶつけるような形で投げていました。それには左投手の身体の形状ではそうしないと身体が開いてしまうからなのですが、でもそれだと右足が身体を支える受け皿にはなっていなくて体幹が抜けたような形になっていました。右投手の多くのフィニッシュを見ていただくと分かりやすいと思いますが、左足が受け皿になってフィニッシュしていますよね。僕の場合、今までは右足がその機能をはたしていなかったので、それを改善していくことでフィニッシュがだいぶ変わってきました」
左投手は右投手と身体の機能が異なる。
しかし、裏を返せば、身体に動きをインプットさせて本来は動きにくい箇所を活性化させることで、新たな力を生み出すことができるということである。
昨季オフ、菊池は二度にわたり長期の海外トレーニングを敢行した。コンディショニングと強度をさらに高めるためで、2月1日の春季キャンプを経て投球フォームをつくってきた。
菊池は手ごたえを口にする。
「開幕の前の時点で150キロが出るなんて、今までなかったことですから、力がついてきているのかなというのは感じます。縦回転で体を動かせているので、球種を増やすことにおいても、プラスアルファはあると思う」。
菊池には昨季同様、エースとしての支配的なピッチングが求められる。さらに左腕特有の身体づくりとフォームがさらなる進化を遂げた2018年は、また新たな期待も生まれる。
日本人左腕初の160キロ到達――。歴史を塗り替える大きな1年になるかもしれない。
文・氏原英明