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黒田博樹と松坂大輔、明暗を分けたMLB復帰投手の「今」を分析する【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、松坂大輔と黒田博樹についてだ。

2015/03/29

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ベースボールチャンネル編集部



MLBで苦しみ、そのままNPBへ復帰した松坂

 松坂大輔も同じ項目で数値を見てみよう。
 
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 2006年、移籍直前の松坂の完成度の高さには目を見張る。NP/IPやNP/PAがやや多いのは、松坂が三振を奪う投手だからだ。一方でBB9は2を割っている。四球は非常に少なかった。そしてSO9は9を超えている。1イニング1個以上の三振を奪っていたことになる。WHIPは1を割り、被打率は2割そこそこ。難攻不落の剛腕投手だった。
 NPB時代の成績では、松坂は黒田よりもはるかに勝っていた。巨額のポスティング費用もうなずける。
 
 MLBに移籍後2年間、松坂は15勝12敗、18勝3敗と成績を残した。実際の数字を見ると苦戦していたことがわかる。
 NP/IPが急増。先発投手は、MLBでは100球をめどに交替することが多い。NP/IPが17を超えるのは、100球では6回を投げ切ることができないことを意味する。
 投球数が増えたのは、四球が急増したからだ。BB9は倍増している。
 昨年の成績もそれまでのシーズンと数字として大きく改善されたわけではないものの、AVG=被打率が非常に低く、きっかけをつくったように思われた。
 
 そして今年のオープン戦――。今のところ松坂の投球は冴えない。
 NP/IPは18を超え、NP/PAは4.64。BB9とSO9の数字はついに同じになった。制球に苦しみ、また一人あたりの球数も多いので、必然的に全体の球数も増える。被打率も悪化している。
 松坂大輔も、ある意味、MLBでの状態をそのまま持って復帰したことがわかる。
 
 黒田博樹は4月3日の先発が予定されている。この状態ならば、少なくとも「試合を作る」投球をするのは間違いないだろう。
 対照的に松坂大輔はインフルエンザの影響もあり、開幕2軍スタートとなった。MLB時代からその模索が始まっていたが、NPBに復帰して新たな「松坂大輔」を作らなければならない。今もその道半ばだろう。1軍復帰時にこれらの数字がどのように変化するのか、注目したい。
 
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