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今宮”奇跡の生還”に驚愕の事実? 「走塁の数値化」で見えてくる驚異のプレー【新装版・野球新書】

試合の勝敗、投手の球速、野手の打率、盗塁数…プロ野球を観戦する際に注目するポイントはいくつもある。この連載では、野球観戦力が高まる情報を伝えるとともに、“プロフェッショナル”とは何かを考えていく。

2018/04/02

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ストップウオッチで数値化

 なぜ、今宮は生還できたか。状況としてはアウトになってもおかしくないタイミングだった。DeNA守備陣形、打球の速さではセーフになりにくい状況だった。
 
 この一連のプレーを可視化すると、今宮の凄みが見えてくる。
 
 このプレーを見ていたとき、筆者はストップウオッチを使っていた。パットンが投げたボールを中村がとらえた瞬間にスタートボタンを押し、戸柱がミットに収めた瞬間にストップボタンを押した。そのタイムは5.62秒だった。
 
 間違いではないかと思った。あまりにも速すぎるタイムだったからだ。
 
 通常、二塁からの本塁生還のタイムは、高校生の場合で打者がボールにバットを当ててから7秒ジャストがデッドラインだと言われている。高校生は6.8秒くらいで本塁に到達すればセーフ、逆に守備が6.8秒くらいで返球すればアウトになるはずだ。プロならば、6.5秒くらいだろう。
 
 このタイムは外野手が定位置を守っていた場合で、なおかつ1死未満の想定だ。つまり、シチュエーションが変わればタイムはもっと速くなる。それでも6秒を切るのはほとんどまれだ。
 
 以前、千葉ロッテマリーンズの荻野貴司の二塁から本塁の生還タイムを計ったとき、6秒を切ったことがある。その際も2死だった。
 
 2死のケースでは、走者はアウトカウントを気にしなくていい。バットにボールが当たった時点でスタートを切る。打球がライナー性でも躊躇する必要がなく、おのずとタイムは早くなる。
 
 同じことが守備でも言える。ボールへのチャージは思い切っていけるし、とっさのスピードが好タイムの返球を可能にする。日本シリーズ第2戦のあの場面、梶谷の送球はまさしくプロフェッショナルなプレーだった。
 
 しかし、それをかいくぐったのが今宮の走塁だった。

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