西武、開幕8連勝生んだ隠れた好プレー。記憶に残る秋山翔吾の“一打”
埼玉西武ライオンズが27年ぶりの開幕8連勝を果たした。課題となっていた投手陣が粘り、強力打線は好機を逃さない。チームが好調を維持する中で多くの好プレーが生まれるが、今回はあまり注目されない“1本”を取り上げたい。
2018/04/09
流れを譲らなかった秋山の粘り
西のストレートをファール、変化球は選球して3ボール2ストライクと粘りを見せると、10球目の甘く入ったスライダーを捉えて右翼前にはじき返した。続く源田が左中間を真っ二つに割ると、秋山が一塁からホームイン。1点を勝ち越した。
この後も攻勢にでた西武は、7回裏、外崎修汰が三塁打でチャンスをつくると、炭谷の右翼前適時打で1点。8回裏には、浅村栄斗の二塁打のあと、山川穂高が左翼スタンドに放り込んで5-1とリードして試合を締めた。
先制からすぐに追いつかれての試合展開。あっさり2死取られた中での秋山の粘りは、そう目立つシーンではないが、8連勝において貴重な一本の一つだ。
もともと秋山というバッターは打席で積極的にアプローチしていくタイプだった。ファーストストライクから積極的に狙い、甘い球を確実にものにしていく。そうして、2015年、シーズン最多安打の日本新記録を樹立した。
しかし、この大記録達成の陰で、秋山は自身の課題を挙げていた。
「僕があれだけの安打を打てたのは、後ろに栗山さんと浅村という、経験と技術力を兼ね備えた選手がいたからなんです。1番打者が積極的にいきすぎて、あっさり凡退というのはあまりしてはいけないことでした。でも、当時の僕は後ろの2人に依存して、積極的にいくことができた。でも、これからはそうじゃない打者になっていかないといけない」
積極的なスタイルで安打を重ねるだけでなく、ボールを選球しながらでも結果を残していく。さらなる技術力を付けなければいけないと常に自身の実力を高めてきたのが、大記録達成後の秋山だったのだ。
「源田が打ったからこそ意味があった1本ではあると思うんですけど、2死を取られた中で、あそこで僕が気持ちを切らせてしまってはいけないし、ただ粘るだけじゃなくて、ヒットになったのは良かったかなと思います」
秋山は6日のあの一打をこう振り返る。開幕8連勝の中で、あの1本を取り上げられることはそう多くないだろう。
もちろん、この一打がすべてというわけではない。しかし、エース対決という競った試合展開の中で、流れを相手に渡さない1本がもたらした効果はとてつもなく大きい。
文:氏原英明