菊池と則本の投げ合いに見たエースの矜持。試合を支配する「三振の力」【新装版・野球新書】
試合の勝敗、投手の球速、野手の打率、盗塁数…プロ野球を観戦する際に注目するポイントはいくつもある。今回は4月13日の東北楽天ゴールデンイーグルス-埼玉西武ライオンズ戦において、試合の流れを左右した両チーム・エースの「三振の力」について考える。
2018/04/17
エース級が投げ合う楽しみな金曜日
毎週金曜日は必ずスタジアムに足を運ぶ。
金曜日は、プロ野球セ・パ両リーグが開幕した曜日。エース級が投げ合うケースが極めて多い。もちろん、例外もあるが金曜日は楽しみな対戦が多い。
4月13日の金曜日、読売ジャイアンツ-広島東洋カープ(東京D)は菅野智之VS野村祐輔、横浜DeNAベイスターズ-中日ドラゴンズ(横浜スタジアム)は石田健大VS小笠原慎之介、東北楽天ゴールデンイーグルス-埼玉西武ライオンズ(楽天生命パーク)は則本昂大VS菊池雄星だった。
楽天-西武は試合前の予想からは大きく外れ、両投手とも打ち込まれる展開。これには驚いたが、則本も菊池もともにエースらしい立ち居振る舞いを見せた。
彼らの投げ合いが面白いのは、ともに三振がとれる投手であるということだ。
昨季の則本のように、三振は数多く取るほどに騒がれる。しかし、中には試合展開を左右する「この三振」ともいえる意味のあるものが存在する。
菊池は昨季エースになった気づいたこととして、「三振には目に見えない力がある」と話している。
「チームに勢いを持っていきたいとき、相手の勢いを止めたいとき、逆転してほしいとき、三振を取るとチームに一体感が出てくるんです。点差のあるときの場合だと、三振でその回を追えると、相手はお手上げ状態みたいになるんです」