ラジオ史における前代未聞の事件――TBSラジオ野球中継撤退で実現した「表裏文化放送」【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#74】
先日行われた西武との2連戦。実はラジオ中継史上の「事件」が起こっていた。
2018/04/23
文化放送が2つの中継を担当
西武4回戦(4月17日)は十亀剣、上沢直之の両先発だった。ファイターズ的に言うと「上沢が危険球退場し、苦心の継投でつないだ試合」だ。西武的には「初の東京ドーム開催、ライオンズクラシック大盛況(松崎しげるさん生歌最高!)」という感じか。スコアは7対2でファイターズ勝利だ。開幕シリーズで3タテを喫した好調西武にやっと勝てた。
翌日、メットライフドームに所を移しての5回戦は例の「0ー8からの大逆転劇」である。うちは上原、田中豊、トンキンが大量失点、ちょっとトラウマになりそうな負けだった。まぁ、いかに西武の集中打がすごいかということでもあるし、うちのリリーフ陣の未熟さが露呈ということでもある。まだ石川直はあれを止める力はないんだなぁ。頑張れ石川直、いつか必ずこの悔しさを晴らそうぜ。
と、まぁ、そのような西武2連戦だったわけだが、非常にマニアックなことを言わせていただく。この2連戦、ラジオ中継史上の「事件」が起こっていたのだ。実は僕も当事者としてほんの少し関わったことだ。折しもスペシャルウィーク(聴取率調査週間)であり、僕は東京ドームで行われた4回戦の文化放送の中継にゲスト出演した。実況・松島茂アナ、解説・東尾修さん、第1ゲスト松崎しげるさんという豪華版だ。僕は20時からの第2ゲストという形で松崎さんと交代でブースに入った。
文化放送は四ツ谷時代からお世話になっていて、もちろん「ライオンズナイター」にも何度もゲスト出演している。その名の通り西武寄りなのだが、僕らパリーグ党にとってはCS放送が始まる前からパの中継を組んでもらった恩義がある。巨人戦しかなかった時代、パリーグの中継を組んでくれた英断にはどれだけ賛辞を尽くしても足りない気がする。最近でこそradikoプレミアムのエリアフリー機能のおかげで、北海道のラジオが聴けるようになったけれど、僕は感謝の意を込めて今も西武戦は文化放送を聴くようにしている。やっぱり文化放送は「パリーグのど真ん中」(数年前のライオンズナイター・キャッチコピー)なのだ。
で、直前に知ったことなのだが、この日の「文化放送ライオンズナイター」は北海道の「STVファイターズLIVE」にネットされていた。つまり、東尾さんや松島アナや松崎しげるさんや僕の声は関東では文化放送、北海道ではSTVラジオで聴くことができた。ところがこの日、文化放送はもう一つ中継を制作担当していて、それは実況・飯塚治アナ、解説・ガンちゃんこと岩本勉氏の「HBCファイターズナイター」バージョンだった。文化放送が2つ中継を出していた(!)。そんな話、聞いたことがない。しかも北海道のナイター人気を二分するSTVラジオ、HBCラジオの2局を両方担当するなんて。