通用しなくても……安田尚憲が一軍で得た教訓。幕張のゴジラが見据える未来【マリーンズ浦和ファーム通信#43】
幕張のゴジラはオープン戦までの一軍生活で何を感じたのか。そして、今二軍でどのような強化に励んでいるのか。
2018/04/25
千葉ロッテマリーンズ
大村コーチ「確実に良くなっている。もう少し」
定期的に行っている身体測定ではお尻周りが4センチ大きくなっていた。数値で成長を実感出来たことで安田自身もさらに手ごたえを感じた。そしてそれは本筋の打撃にもプラスとなっている。打撃に関してはタイミングの取り方と軸足にしっかりと体重を乗せて体が流れることがないように打つことを意識。フリー打撃ではセンター方向へ圧巻のさく越えを見せ始めた。これには指導にあたる大村巌二軍打撃コーチは「確実に良くなっている。もう少しすればもっと良くなる。センター方向でも、もっと広い角度でさく越えをするようになる。もう少しです」と笑みを浮かべる。
バットを振り続け、ウェートを重ね、守備練習で泥まみれになるという野球漬けの日々。今までは経験をしたことのない野球だけの日々に肉体的には「キツイですね」と時折、本音が漏れる。そんな時、そばで見守る大村打撃コーチはポツリとつぶやく。「野球以外の世界も厳しいぞ。人生はもっとキツイ。こんなもんじゃないよ」。そんな一言に今、バットを握ることに専念できる環境にいることの幸せを改めて感じ、さらに鍛錬に邁進する。
「もう野球以外の生活の過ごし方を忘れてしまいましたね。毎日、試合と練習が続くのはしんどいですが徐々に慣れてきました。これからさらに暑くなるでしょうし、キツイことも多いと思う。それを乗り切って成長をしたいと思う」
刺激になる事もあった。4月20日から22日に鎌ケ谷で行われたファイターズとのイースタンリーグ3連戦で清宮幸太郎内野手が3本塁打。いずれも飛距離十分の大きな当たりを放たれた三塁を守る安田の横をライバルは悠然と通り過ぎた。札幌でのオープン戦以来となった試合前の再会では「全然、打てない」と弱音を吐いていたが一瞬でその流れを変えてしまった。
「清宮もそうですが、ヤクルトの村上(宗隆)、カープの中村(奨成)も頑張っている。同じ世代が頑張っているのは励みになりますし負けられないと思う」
高校時代から嫌でも世間からライバル視された清宮のスイングにまた闘志を燃やす。そんなファイターズとの3連戦を終えた直後の4月24日。ロッテ浦和球場での練習日の最後に二軍の野手全員で打球速度を測定した。新外国人のドミンゲス、ペゲーロも含む数値で最高値を叩き出したのは背番号「5」だった。幕張のゴジラは確実に成長をしていた。そして、それはまだまだ過程であり、一つの大きな形として出来上がるのはひと夏を超えた後であろう。ZOZOマリンスタジアムのライトスタンドに大きなアーチを放つ姿は、そう遠くない未来に必ず見ることが出来る。