「3年目の責任感」投手・大谷翔平のもがき戦う姿が、チームの奮起に【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#1】
コラムニストのえのきどいちろう氏は、チームが日本ハムファイターズとなった1974年以来の生粋のファイターズファンだ。2015年シーズンの開幕にあわせ、ファイターズ愛あふれるコラムを定期連載でお届けしていく。
2015/03/31
ベースボールチャンネル編集部
ピッチャー大谷は、まだ「ダイヤの原石」感が残っている
去年は「10勝&10本塁打」(正確には11勝4敗でチームの勝ち頭)のベーブルース記録に並んだ。もう、誰も「二刀流は可能か?」という問題の立て方をしなくなった。チームはダルビッシュと同じ「3年目の開幕投手」を彼に託すことになる。柱のたとえで言うなら今度は「大黒柱」ですね。
開幕戦は5回2/3投げて自責点1。2回、投球がバラつき、先に失点を許したところ、6回、足がつって途中降板したところはマイナス材料です。出来自体はあまりよくなかった。但し、それでも勝った。これがすごいと思います。
開幕戦、僕の印象に残ったのは大谷の気持ちの部分でした。責任感と言い替えてもいい。立ち上がりはちょっとあり得ないくらい緊張してましたね。大谷でもこんなになるのか。で、2回は投球がまとめられず、四球を連発して自らピンチを招いた。
だけど、そこから修正した。変化球を交え緩急をつけ、ストレートを有効に使った。僕は大谷という選手はピッチャーとしてのほうが未完成だと思うんですよ。バラつき癖は以前からあった。まとまらないことが多い。球速表示が何キロ出ても、まだ「ダイヤの原石」感がある。
打者としてのほうが完成されてますね。フォームが理に適ってる。無理がぜんぜんない。たぶんトレーニングの効果ですけど、スイングスピードがこの3年で見違えるほど速くなった。インパクトの瞬間だけ見れば、中田翔より速いんじゃないかと思う。
だけど、開幕戦を見てこれから投手として大成するんだなぁ、という印象を持ちました。それは気持ちです。勝とうとする意思。自分がやらなくてはという責任感。大谷翔平級の大器がもがいてもがいて、どうにかしようと一心に戦っている。その姿は胸を打つんだなぁ。おかげでオープン戦不調のチームが上々のスタートを切った。
犠打数0の不思議 攻撃的2番・田中賢介を確立させた、開幕戦のバント失敗【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#2】
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えのきどいちろう
コラムニスト。1959年、秋田市生まれ。中央大学経済学部卒。在学中の1980年、『宝島』にて商業誌デビュー、以後フリー。朝日新聞、読売新聞、『サンデー毎日』、『週刊文春』等々、膨大な数の紙誌に連載を持つ。またラジオのパーソナリティーとして文化放送、TBSラジオに出演。球団創設以来のファンターズファンとして知られ、北海道新聞に連載「がんばれファイターズ!」を持つ。野球関係の著書に『F党宣言!』(河出書房新社)
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