ソフトバンク内川、“マジック1”に苦しんだ偉業。親子で築いた野球の礎、記念打はこだわりの右方向
福岡ソフトバンクホークスの内川聖一内野手が9日、埼玉西武ライオンズ戦(メットライフドーム)で15打席ぶりの安打を放ち、通算2000安打とした。史上51人目の快挙を成し遂げた背番号1は、晴れやかな表情を浮かべていた。
2018/05/10
右方向への意識、内川らしい記念の1本
達成後、西武の松井稼頭央外野手、さらに王貞治会長から花束が贈られた。代走を告げられたため、ベンチへ戻ってチームメートや首脳陣とハイタッチで喜びを分かち合った。
「達成までの生みの苦しみも充分味わいました…色々ありましたね。すんなりあと1本が打てないあたり、2000本打ってきたとはいえ、僕もまだまだだということです。早くチームのために2001本目を打ちたいです」
2000本目のヒットはセンターの右に運んだ。学生時代から常にセンター方向へのヒットを意識して取り組んできた内川らしい1本。以前、父・一寛さんからこんな話を聞いたことがある。
「高校時代から右方向へ打つのがうまかった。この頃から『俺は徹底してセンター方向へのヒットを打って、ホームランじゃなく打率で生きていくんだ』と言っていましたよ」
一寛さんとは高校時代、師弟関係にあった。「お父さんと同じチームで野球がしたい」と一寛さんが監督を務める大分工業高校に入学。親子で甲子園を目指した。2000本にリーチがかかると、遠征にも駆け付けてくれていたお父さん。記録達成後にはスタンドで涙を拭う姿があった。この偉業は何よりの親孝行になったに違いない。
「今の数字では物足りないので、これまでの分を取り返せるように、これからも頑張ります」とお立ち台で宣言。9日終了時点で打率は.207は、確かに内川には似合わない数字だ。
1975安打で開幕を迎えた今季、「自分の記録については早めに終わらせて、チームのことに集中したい」と話していた。明日からは気持ちを切り替え、2001本目を放って、チームの連覇へ向けて先頭に立つことだろう。
文・古江美奈子