西武・雄星、戦線離脱の英断。エース抹消を決断させる首位快走のチーム力と復帰後の青写真
埼玉西武ライオンズの菊池雄星投手が6日、出場登録を抹消された。球団によると、左肩の機能低下で、2～3週間をめどに1軍復帰を目指す。首位を快走する中でのエースの離脱は、チームにとって大きな決断となっただろう。
2018/05/11
菊池の状況が如実に「今年はゾーンに入れない」
「もっと大事にいかないといけなかった。特に（7回の）茂木のホームランはカウントを取りにいったスライダーでした。普段であれば、自信をもって腕を振ったスライダーを投げれていたはずなんですけど、手で操作してしまった」
菊池はマウンド上で相手と対峙するより、自身の左肩に語りかけてばかりいたのではないか。
昨季までならピンチになればなるほど腕を振り、ここが最終と予想されるイニングにはギアを上げたものだったが、今季の菊池にはそれがなかった。ギアを上げようとはしていたが、心と体がつながらなかったのかもしれない。「今年はゾーンに入れない」という言葉は彼の状況を如実に表している。
先発ローテーションを守る中で、改善の兆しがなかなか見えてこなかった。首脳陣から「休んでもいい」と言われたこともあったようだが、今季の自身が置かれている立場を考え、踏み切れなかったのが現状だった。
しかし、5月4日の登板後についに決断を下した。
簡単な決断ではない。チームの調子がいいとはいえ、ここで登録を外れることの意味は重々分かっていた。ほかの投手に負担がかかることは明らかで、世間からの見方も本人は気にするところだった。けがで離脱することで「ガラスのエース」などと書かれることも察しはついていた。
辻発彦監督も菊池の状態に気づいていたに違いない。投げられなくはないが、本調子ではないと。
ただ、開幕から5連勝を飾るエースである彼に「登録を外す」という選択を迫ることは、指揮官とはいえ簡単なことではないのだ。
菊池はようやく決断した。その気持ちを理解しているからこそ、辻監督は受け入れたのではないだろうか。