カープ異例の緊急補強!新助っ人シャーホルツは救世主となりうるか?
カープが新助っ人としてメジャー通算52本塁打のネイト・シャーホルツの獲得を発表した。メジャー時代の成績からシャーホルツの活躍の可能性を占うとともに、異例の緊急補強の意図と余波を考察する。
2015/04/05
Getty Images
アメリカ代表の一員として北京五輪へ出場
3日、広島東洋カープは新助っ人としてネイト・シャーホルツ(31歳 右投左打)と契約したことを発表した。過去6年間は準レギュラーとして活躍、メジャー通算52本塁打の実績を持つシャーホルツ。イチローや青木と天秤にかける球団も多く、昨年オフは何回か日本でその名前も報じられた選手だ。そんなシャーホルツは貧打解消の救世主となりうるだろうか?
シャーホルツは2003年ドラフト2巡目でサンフランシスコ・ジャイアンツに入団。高校では三塁手としてプレーしていたもののプロ入り後に外野手にコンバートされ、2007年5月にメジャー昇格。1、2年目は出番に恵まれなかったが、3年目の2009年に代打要員として結果を残し116試合に出場、終盤にはライトのレギュラーを手中に収めた。
メジャー2年目の2008年にはシーズンのほとんどをマイナーで過ごすも、スティーブン・ストラスバーグ(ナショナルズ)やマイク・ヘスマン(元オリックス)、ブライアン・バーデン(元広島)らとともに北京五輪にアメリカ代表として出場。全9試合にスタメンで出場し6打点を挙げる活躍を見せた。韓国戦では本塁打、日本との3位決定戦では成瀬から二塁打も放っている。
その後はライトのレギュラーあるいは4番目の外野手として毎年120試合前後の出場機会を得るというシーズンが続いていたが、2013年に移籍したシカゴ・カブスで打撃が開花。主に5番を打ち137試合に出場、本塁打21本、打点68、OPS.770と自己最高の成績をマークした。
一転、2014年は開幕から不振に陥り99試合で.192に終わると8月にカブスから放出、その後ナショナルズに拾われたものの復調とはいかず、計125試合に出場し打率.195の7本塁打に終わっている。
メジャー通算8年は799試合で打率.253、52本塁打、228打点、30盗塁で出塁率.302、OPS.707の成績を残した。
「大砲ではない」と報じられているとおり、打者としてのタイプはライナーで外野の間を抜いていくギャップヒッター。
一昨年の21本塁打はフロックだと見る声が大きいが、それでも平均レベルを上回る長打力があり、アメリカと比べて狭い日本の球場なら本塁打を量産する可能性もある。
球団は勝負強い打撃も期待している。しかし走者有り、得点圏やClose&Late(7回以降接戦時)の全ての状況で成績が芳しくなく、数字からは特にチャンスに強いタイプとは言えない。
シャーホルツの課題としてあげられるのが選球眼と左投手への対応だ。どちらかというとフリースインガーに分類される選手で、通算打率.253に対して出塁率は.302。四球での出塁能力を示すIsoDは.049で、NPBでもあまり四球を選ばないことで知られるソフトバンクの内川や今宮らに近い数字だ。長打力があり、三振数も平均以下だが出塁が少ないため攻撃面での貢献度は見た目の数字より高くない。
左投手も苦手としており通算では対右投手のOPS.720に対して左腕にはOPS.651。52本塁打のうち左投手から打ったのはわずか4本だけだ。キャリア前半ではむしろ左キラーとして知られた選手であり打開の望みがないわけではない。選球眼と対左投手、この2つの改善がシャーホルツが日本で活躍するうえでの重要なキーになるだろう。
変化球ではストレート系を得意にしている一方でスライダーを非常に苦手としている点、打球傾向こそ広角なものの本塁打のほとんどがライト方向のプルヒッターであることも考えれば、日本球界への対応には苦労しそうなタイプに見える。