原監督流の愛の鞭? 阿部慎之助の捕手復帰劇の裏で、プロ最大の試練を迎えた小林誠司
2日の中日戦でベテランの相川が故障。阿部のコンバートを後押しした、FA補強のベテラン捕手の長期離脱が決定し、早くも捕手・阿部が復活した。しかし、このまま捕手・阿部を貫かせては、決して巨人の未来は明るくはならない。
2015/04/06
早くも起こった残り1%の事態
特効薬なのか、あるいはパンドラの箱となってしまうのか。巨人は開幕7戦目にして、早くも捕手・阿部慎之助を復活させた。
原監督にしてみれば、不退転の決意で決めたコンバートだった。01年から長く巨人の扇の要に座ってきた大黒柱を、より打撃に専念させるため一塁へ移したのは昨年11月だった。
「予期せぬ事態は絶対にないとは言えないので100%とは言えませんが、99%ない。こちらが中途半端な気持ちでは、彼に対して失礼に当たります」
阿部を再び捕手で起用する可能性について問われ、答えたかつての発言だ。その「1%」が、早くも起こってしまったのか。
発端は2日の中日戦。相川亮二が走塁中に右脚を痛め、負傷交代した。診断結果は右大腿二頭筋の肉離れで、全治1カ月の見込み。阿部のコンバートを後押しした、FA補強のベテラン捕手の長期離脱が決定した。
加えて巨人はこの試合を落とし、中日に2年ぶりとなる同一カード3連敗。しかも開幕カードで3連敗していた相手に叩きのめされたのだから、たまったものではない。チームの雰囲気は最悪で、このままズルズルと大きく出遅れる気配さえ漂わせていた。
そんな非常事態に、阿部が動いた。「キャッチャーでいけます」と捕手復帰を指揮官へ志願したというのだ。
原監督も開幕早々に迎えた大ピンチに、阿部の直訴を受け止めた。翌3日の阪神戦。「4番、キャッチャー、阿部」。聞き慣れたはずのアナウンスに、東京ドームがどよめいた。