二度祝福された西川遥輝。ナンノコッチャ&ワケワカンネーが集約された「幻の200盗塁」【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#77】
6月1日、西川遥輝が正真正銘の200盗塁を達成したが、実は5月30日の巨人戦で「幻の200盗塁」が起きていた。
2018/06/03
札幌ドームに笑いが起きた理由
13対2と大勝した中日1回戦、ヒーローインタビューのお立ち台に上ったのは高梨裕稔と西川遥輝だった。2人とも胸に「200」と入った記念Tシャツを着ている。4勝目をマークした先発・高梨は「遥輝の200盗塁、本当に僕、ここに立ってていいのかなという感じですね」と西川に花を持たせる。2回裏、2点タイムリーを放ち、すかさずニ盗を決めた西川は序盤のビッグイニングの立役者であると同時に、プロ野球史上75人目となる「通算200盗塁」の達成者だ。
インタビュアーはSTVの岡崎和久アナだったが、盛り上げようとして何度か空回りするうち、「さぁ、それでは西川投手(!)、その200盗塁のTシャツも着ておりますが……」と、フリで主役のポジションを間違えるという痛恨のミスを犯した。そこで強引に観客席の少女の応援ボードの話をはさみ込み、感動路線への修正をはかるが、当の西川がぜんぜん乗って来ない。
「まぁ、幻の200盗塁があったおかげで札幌で決めることができたんで、本当に嬉しく思います」
そりゃ西川は「幻の200盗塁」を言いたくて待ち構えていたはずだ。もちろん札幌ドームにはドッと笑いが起きた。実はファイターズファンは今週、5月30日と6月1日の二度、西川遥輝の「200盗塁達成」を見たのだ。当事者の西川とすれば二度達成し、二度場内アナウンスとビジョンで「200盗塁達成おめでとう!」と持ち上げられ、二度塁上から帽子をとって挨拶するという、珍事に見舞われた。当の本人は(そもそも200盗塁をそれほど意識してたわけでもないし)本当に面白かったと思うんだ。
ではその「幻の200盗塁」が出来(しゅったい)した東京ドームの巨人2回戦を振り返ろう。僕は3塁側内野席にいた。今季、色々と感動的な試合も見てきたが、この試合ほど腹の底から「あぁ、俺は野球を見ている」という気にさせられた試合もない。「あぁ、俺は野球を見ている」とは「あぁ、俺は生きている」という意味だ。