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阪神・鳥谷敬、連続出場記録ストップでの懸念は? パフォーマンス低下の要因は体力的な問題ではない【小宮山悟の眼】

阪神タイガースの鳥谷敬内野手の連続試合出場記録が1939でストップした。鳥谷がプロ1年目から築いてきた数字に終止符が打たれた。この重みのある数字が持つ意味を考えたい。

2018/06/03

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パフォーマンス低下は視力の衰えか

 今季の鳥谷に調子はいまひとつで、緊張感を維持できていたのは記録の影響が大きいと思う。それが断たれたとき、緊張の糸が切れてしまうのではないかと考えていた。
 
 記録が途切れて1週間ほどは気を張っているから問題ないだろう。しかし、その気持ちが薄れ、「試合に出なくてもいい」という感情が生まれたらもう引き戻せなくなる。開幕からパフォーマンスが上がらなかった焦りをごまかしてくれていたのは、連続試合出場記録だったのだ。
 
 さらに心配なのは、これから成績が伴わなかったら首脳陣は「記録は途絶えたから」とファームに落とす選択肢を視野に入れるだろう。そうなれば再び昇格する可能性は低く、引退という道もありえなくはない。
 
 鳥谷が今季苦しんでいる原因は体力的なものではないと考えている。
 
 一番に考えられるのは視力の衰えだろう。イチローにも感じたことだが、フィジカル面に問題はないのにパフォーマンスが落ちている。外野守備であれだけ巧みな技術を持っていた選手がナイトゲームでおぼつかない守備を見せるようになった。見え方が変わってきていることが一つの要因なのではないだろうか。
 
 投手だとそれほど大きな問題にならないが、野手はボールを目で捉える感覚が必要になる。肉体の衰えにより、動きが鈍くなってボールを取り損なう分には、練習することで改善できる。しかし、視力の衰えはトレーニングでカバーすることは難しい。それが今の鳥谷を苦しめている一つの要素だろう。
 
 鳥谷が自らこの記録に終止符を打つのは引退を決断した時だろうくらいに思っていただけに、今回の記録ストップは非常に残念だ。ただ、これからの鳥谷が生きる道として、「代打の神様」といわれた八木裕や桧山進次郎、関本賢太郎のように、1打席にすべてをかけて阪神一筋を目標にするのもいいのではないかと思う。それが彼の気持ちを繋ぎとめる要因にもなるのではないだろうか。
 
 
小宮山悟(こみやま・さとる)
 
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。
 
 
氏原英明

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