高卒2年目投手がプロ野球席巻、代表格はオリ・山本由伸 “豊作世代”へ期待も懸念すべき起用法
今季のプロ野球では、2016年ドラフト組の高卒2年目の投手が熱い。セ・パ両リーグにおいて若い投手の活躍が光るが、その起用法はチームによって異なる。各球団はどのようなビジョンで育成を行っているのか。
2018/06/12
若さは大きな武器、心配は登板過多の影響
今季のプロ野球を席巻しているのが、高卒2年目の投手たちだ。
オリックス・バファローズのセットアッパーを務め、21試合で14HPの山本由伸を代表格として、イキのいい若い投手たちが頭角を現している。
東北楽天ゴールデンイーグルスの藤平尚真は、開幕ローテーション入りし1勝を挙げている。横浜DeNAベイスターズでローテーションの谷間を担う京山将弥はすでに7試合で4つの勝利を飾っている。
広島東洋カープのアドゥワ誠は開幕1軍入りを果たし、比較的ストレスの少ないモップアップの役割で22試合に登板。また、高校時代は藤平とともにビッグ3と言われた高橋昂也(広島)、読売ジャイアンツ戦でプロ初勝利を挙げた才木浩人(阪神タイガース)、近々にプロデビューを果たす2016年の夏の甲子園優勝投手・今井達也(埼玉西武ライオンズ)など、「高卒投手豊作世代」の期待さえするほどである。
高卒2年目という若さは大きな武器だが、いまだ成長過程であるため、登板過多の影響が気がかりだ。
例えば、京山はピッチングスタイルから前田健太(ドジャース)と比較される。前田の1軍デビューは高卒2年目で、19試合の登板にとどめている(109.2イニング)。当時の指揮官だったマーティ・ブラウンの良識的な采配で、その後の成長を後押しした。
京山は2年目とは思えぬほどのコントロールと切れを持っているが、182センチ75キロの体躯から線の厚みを感じることはできない。強豪私学で鍛えられてきた分、投球術のうまさをのぞかせるが、1年間、ローテーションを守り切る体力があるようには思えない。
もちろん、DeNA・ラミレス監督の采配にはその点の配慮を感じる。
京山をローテーションの一角にせず、短いイニングで降板させているのは、負担を極力かけたくないからだろう。
また、開幕ローテ入りしていた楽天の藤平は6試合を投げたところでファーム調整となった。本人は相当に悔しいだろうが、彼もまだ身体が出来上がっているわけではないと考えると、いい熟成期間をもらえたと言える。