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斎藤佑樹、“かっこいい”は捨てよ。必要なのは過去と対極の姿勢、復活の松坂から見出す活路とは【小宮山悟の眼】

 プロ8年目を迎え、30歳となった北海道日本ハムファイターズの斎藤佑樹投手。6月12日の阪神タイガース戦に先発登板したが、今季初黒星を喫し、まだまだ厳しい状況が続いている。

2018/06/21

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泥水をなめるくらいの覚悟が必要

 交流戦の最終盤に故障してしまったが、中日ドラゴンズで復活を遂げた松坂大輔投手はどうだろうか。
 
 投手としてのタイプは異なるが、松坂が思い通りのピッチングができなくなってから、今に至るまでのことを考えてみる。今季、ようやく自身の思い描くボールが投げられるようになった。そこから、いかにバッターを打ち取ろうかというプロセスを踏んだのだ。
 
 斎藤の場合、思うように投げられてはいる。どうすれば相手の打者を抑えることができるかと、考える努力がまだまだ足りないと感じている。
 
 決して新境地を探すのではない。
 
 気づいていないふりをしている部分を取り入れるかどうかという話だ。つまり、いまと対極のことをすればいい。速い球ではなく、遅い球を投げる。きれいな真っすぐではなく、汚い真っすぐを追求するといった具合だ。
 
 斎藤は、きれいなボールをアウトコースにズドンと投げて三振を取ることが美しいと考えており、そこを目指したい。しかし、これまで何年も目指してきて、たどり着けなかった。本人が考えを変えるしかないが、斎藤が意固地になっているのだろう。
 
 福岡ソフトバンクホークス時代の松坂は、緊張感たっぷりの中で「どうしよう」ともがいていた。コップの淵ぎりぎりに注いである水が表面張力でとどまっている状態だった。
 
 しかし、今季はその水がこぼれた瞬間があっただろう。これまでアタフタしていたが、いざこぼれてもたいしたことはないと気づくことができた。
 
 実際、勝負事にはそこが重要なのだ。どっちつかずでフラフラしている状況でも、ある瞬間に目の前が突然開けるときがくる。そこを見逃さないか、ということだ。
 
 「かっこいい斎藤佑樹」を捨て、泥水をなめるくらいの気持ちでやれば、視界は開けてくるだろう。
 
 これからローテーションの一角を担うのは厳しいだろう。だが、生き残る術は山ほど残っている。目を覚まして、「斎藤佑樹は変わった」というのを見せつけなければならない。
 
 
小宮山悟(こみやま・さとる)
 
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。
 
 
氏原英明

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