巨人・上原浩治、物足りなさは“突貫工事”の影響。いま一度の鍛え直しが必要【小宮山悟の眼】
2018/06/27
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衰えは感じないが…上原に起きている信じがたい状況とは
上原を見ていると、衰えがあるようには感じない。ただ、これまでとは別人のように打たれているのは気がかりだ。
上原は力で勝負するタイプではない。真っすぐとフォークを駆使し、制球力でマウンドを支配する投手だ。もともとバッターが対応できないボールを投げることで勝負できていた。いまもそのボールを駆使しているが、打者は上原のボールに簡単に対応している。正直、信じがたい状況だ。
今後を考えると、10日から2週間ほどみっちり鍛え直した方がいいだろう。心拍数が上がるという極限を超えるくらい練習することで、いろんな変化があるはずだ。
年齢的にみると、いま大きな故障をしてしまうと引退が早まる可能性がある。加齢によって故障の完治は遅くなるため、現役生活に終止符を打つようなけがは避けなければならない。しかし、けがしないことばかりに注意を向けると、投手は恐る恐る投球することになり、思い切ったピッチングができなくなる。
仮に、上原が来年も巨人と契約するとして、例年と同じように自主トレからキャンプ、オープン戦と過ごすことができれば、本来の投球に戻ると思う。もちろん、年齢は1歳上がるというマイナス面の作用を考える必要はあるが、しっかりと準備すればまだできる投手なのだ。
小宮山悟(こみやま・さとる)
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。
氏原英明