打率2割でも西川遥輝は日本ハム好スタートの「陰のMVP」 「1番打者」から見える各球団のオフェンスの現状【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、NPB「1番打者」についてだ。開幕から4カードに出場した12球団の「1番打者」の結果をまとめてみた。
2015/04/10
まずはパリーグから見ていく
NPBが開幕して2週間、4カードの対戦が終わった。例年のことだが、開幕ダッシュに成功したチーム、失速したチームがくっきりと分かれている。
特に今年は、有力視されたオリックスと広島がともに最下位。大きく目算が外れた。
チーム状態を示すバロメーターはいくつもある。その端的な数字として「1番打者の打撃成績」がある。
野球というゲームは「先制攻撃」が大きな比重を占める。先頭打者が出塁し、うまく打線がつながって先取点が入れば、試合運びは有利になる。
1番打者の成績は、主軸打者やエースのそれに匹敵するくらい重要だ。
9日終了時点での、各球団の1番を務めた打者の総合打撃成績をまとめた。打率順に並べている。右端に「生還率」というデータを付けた。これは得点÷出塁数(安打、四死球)で算出される数値で、塁に出た1番打者が後続打者によって生還した比率を示している。
この数字は2番打者以降の中軸打者の能力を示している。
左端の数字はリーグ順位だ。
パリーグから見てみたい。
1番打者の打率1位は、西武だ。秋山翔吾が1番センターに固定され、シュアな打撃を見せている。特に初回の打率が10打数5安打と高い。4月5日のソフトバンク戦には先頭打者本塁打。リードオフマンの仕事を十分にこなしている。
2位は日本ハム。打率.256は大した数字ではないものの、四死球は安打数を上回る13。後述するが西川が異能の活躍をしている。これが日本ハムの快進撃に結びついている。
3位はオリックス。まさかの最下位に沈んでいるものの、1番打者は機能している。平野恵一、駿太、ヘルマン、糸井と4人もの選手が1番を打ち、出塁率は.314。しかしながら生還率は.188、3番の糸井も含めて、中軸が走者を置いてほとんど打てていないことが、今の苦境につながっている。
4位は、ソフトバンク。当初、本多が1番を務めたが不振だったために、中村晃に代わって少し打率が上がりだした。
5位は、ロッテ。荻野が一昨日まで1番を務めたが、岡田も入る。昨日のオリックス戦は打撃が好調の根元が1番に起用された。実はロッテは生還率が1位。1番は大きく機能していないにもかかわらず、後続打線が勝負強く、得点に結び付けているのが特徴だ。
6位は楽天、現時点で1番も中軸も残念ながら機能しているとはいえない。聖澤、岡島、松井稼が1番を打ったが、1回は9打数0安打。複数安打も1度のみ。そして生還率は.000。1番打者が1度も本塁に帰ってきていないのだ。