中後悠平、DeNAは日本復帰にベスト。米国で変化した野球観、“プライド捨てた”左腕と球団繋ぐキーワード
横浜DeNAベイスターズは4日、ダイヤモンドバックス傘下2Aを自由契約となった中後悠平投手との契約合意を発表した。背番号は「91」に決まった。
2018/07/10
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中後の野球観を変えた米マイナー指揮官の言葉
その後、プロ野球のトライアウト、メジャー球団によるテストを経てダイヤモンドバックスへの入団を果たしたわけだが、実は渡米後も、中後はここ一番で力んでパフォーマンスを発揮できないということがあった。
本人も「ロッテの時と一緒や」という考えがよぎったという。ただ、同じ失敗を繰り返したくなかった中後は、自身の不安をマイナーの監督にぶつけた。
「俺は日本でもこんな感じだった。変わられへん。どうすればいいか、アドバイスが欲しい」
指揮官が諭した言葉は、中後の野球に対する想いを一変させた。
「俺はメンタルトレーナーじゃないから分からないけど、同じ野球人としていえるのは楽しまないといけない、ということだ。ピンチで投げるのに楽しむのは難しいけど、野球ってたかがスポーツ。みんなが楽しむため、観客を喜ばせるためにスポーツはある。だから、楽しくやれ。嫌々プレーするのなら、野球はやめた方がいい。嫌な野球をやる必要はない。好きだからやってるんだろう?」
中後は、「自分が誰よりもいい投手だというプライドから結果を出すのは俺だ」とばかり考えていた。結果にとらわれている自分に気づいたのだ。野球を楽しむことを念頭に置くと、結果は勝手についてきた。
「ロッテにいたころは、1軍で投げさせてくれれば抑えられる。そんなことを思っていましたね。メジャーを目指しているやつらと一緒に過ごして、そうじゃないことを知った。身体と身体でぶつかりあう楽しさ、変なプライドを捨てることができた」
野球を楽しむことができる球団が日本にあるかというと、残念ながらそう多くはない。いまだ、根性論がはびこる日本野球界では、試合後に球団首脳陣がメディアを通じて選手を叱責することがざらにある。そういう指揮官がいる球団の選手たちは、たいてい楽しそうに野球をしていない。
そう考えると、野球を楽しんでいる雰囲気を醸成している球団として、DeNAが挙がるというわけだ。