西武・雄星が求める「投球の再現性」、昨季との“9センチ”の違い。優勝に不可欠なエースの完全復調
パ・リーグ首位を走る埼玉西武ライオンズは、後半戦最初の3連戦を1勝2敗でスタートした。開幕直後に絶好のスタートダッシュを切ったが、シーズン中盤を迎え混戦模様となっているパ・リーグ。10年ぶりのリーグ優勝には、エース・菊池雄星投手の「完全復調」が欠かせないだろう。
2018/07/20
指揮官が語る首位の“苦しみ”
プロ野球の後半戦が開幕した。
パ・リーグ首位の西武は福岡に乗り込み、ソフトバンクに1勝2敗と苦しいスタートを切った。初戦では次代のエースと期待される多和田真三郎が4回途中11失点で降板する惨敗スタートだった。同一カード3連敗を阻止したとはいえ、迫りくる2位・日本ハム、3位・ソフトバンク、オリックスの足音は日に日に大きく聞こえているに違いない。
「僕も経験あるから分かるんですけど、首位にいるというのは意外にキツイんです。下しか見ないですからね。上を追いかけるのとはまた違う苦しさがある」
西武・辻発彦監督はそう語る。選手として、指導者として、常勝チームにいた指揮官らしい言葉だが、一方、この経験が後半に生きていると期待もしている。
その期待の多くは投手陣であることは間違いない。
西武の前半戦を振り返ると、開幕直後こそ先発陣の奮闘があったものの、貯金の多くを生み出したのは強力な打線だ。主軸の長打力はもとより、秋山翔吾、源田壮亮から始まる、どこからでもチャンスをつくり、走者をかえせる打線は、投手陣の不安を感じさせないほどの圧倒ぶりだった。
しかし、野手陣の多くが「できすぎているところもある」と口にしていた危惧は、徐々に現実のものとなった。打線の調子が下降線をたどるということはなかったが、スタメンのほとんどが打率3割台ということはなくなり、完封負けを喫することが増えてきたのだ。
「チームが一回りするまでは情報収集する時期でもあって、段々、試合を積み重ねて行って研究されてきた。エース級の投手が相手なら点を獲れない。これが野球なんですよ」と、辻監督は現実を受け止める。
本当に強いチームというのは、投手が打たれた時には打線が奮起し、打線が相手投手を打ちあぐねたら、投手陣がカバーするものなのだ。相互作用が働いてこそ、終盤の戦いを制することができると辻監督は考えているのだろう。
そこで、やはり期待したいのはエース・菊池雄星の完全復調だ。