西武・雄星が求める「投球の再現性」、昨季との“9センチ”の違い。優勝に不可欠なエースの完全復調
パ・リーグ首位を走る埼玉西武ライオンズは、後半戦最初の3連戦を1勝2敗でスタートした。開幕直後に絶好のスタートダッシュを切ったが、シーズン中盤を迎え混戦模様となっているパ・リーグ。10年ぶりのリーグ優勝には、エース・菊池雄星投手の「完全復調」が欠かせないだろう。
2018/07/20
自ら抹消を決断、期待される獅子奮迅の貢献
今季の菊池は開幕から苦しんでいる。
開幕前に痛めた左肩が芳しくなく、シーズンの出だしからベストな状態をつくれなかったのだ。
開幕6戦で5勝を挙げ、完璧な滑り出しに見えた。だが、昨季のような相手を圧倒するピッチングからは程遠く、5月6日に登録を抹消された。実際は、後半に向けての雌伏期間として自ら決断した。だからこそ、後半戦から獅子奮迅の貢献が期待されるというわけだ。
もっとも、6月1日に復帰してからのピッチングはまだベストには届いていない。左肩の状態には問題はないが、昨季のような支配的なピッチングはまだ鳴りを潜めている。それが時に集中打を浴びることにつながっている。ただ菊池本人は全く悲観していない。
なぜなら、彼の中で裏打ちされたデータが着実に歩みを進めていると感じているからだ。
菊池は今季からトラックマンデータの専門家とパーソナル契約を結んでいる。契約の目的は、ボールの回転数を知ることにより変化球の精度を高めることやリリースの位置の確認など多岐にわたるが、彼が求めていたのは投球の再現性だ。
菊池は言う。
「大きく何かを改善したいと思って(トラックマン)データの集積を始めたわけではなく、長い目で見たときに必要な知識だと思って採り入れるようにしました。データが蓄積していくと、過去と何かが違うと思ったときに、数字で解決できるかもしれないと思ったんです。
実際に開幕から取り組んできて思うんですけど、結果が出ていない時は、悪い原因をいろんなところに探しがちになるのですが、良いときと悪いときの違いをデータが示してくれるので、無駄な時間を使わなくて済むようになりました」