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頑張れ岡大海、ようこそ藤岡。大田・杉浦に続く「ドラ1再生」となるか【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#81】

7月末に設定されている期限ぎりぎりで発表された、岡大海(日本ハム)と藤岡貴裕(ロッテ)の1対1トレード。ファイターズファンの心中はいかに。

2018/07/29

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藤岡はファイターズで再生なるか

 一方、ロッテファンもすっかり感傷的になっている。最近でこそ藤岡というと藤岡裕大のイメージ(だから「ルーキーをトレードに?」と混乱したファンもいたという)だが、2011年ドラフト1位の藤岡貴裕はロッテファンにとって大切な存在だ。今回話を聞いた知人(ロッテファン)が全員、口にしたのが、3球団競合になったドラフトでロッテが交渉権を獲得したとき、会見場で嬉し泣きしてくれたというエピソードだ。「ロッテに決まって泣いてくれる選手がついに現れたんだなぁ」と感じ入ったそうだ。しかも、それが菅野智之(東海大)、野村祐輔(明大)と共に「大学ビッグ3」と呼ばれた大物ルーキーだった。
 
 僕は藤岡貴裕、鈴木大地の2人がロッテに指名された後、東洋大の高橋昭雄監督(当時)を『ベースボールマガジン』誌の取材で訪ねている。東武東上線の鶴ヶ島駅から徒歩だった。寮もグラウンドも素晴らしく立派だった。僕はOBの大野奨太のことも聞き出そうと思っていた。そうしたら「文句のつけようがない選手でした」のひと言で終わってしまった。
 
 それでは藤岡貴裕は? 高橋監督に当時の東都リーグ記録になる通算502勝を(しかも完投で)プレゼントし、大学通算(東都)で27勝9敗、奪三振324、防御率1.31の左腕は高橋監督の目にどう映ったか。
 
「藤岡は負けず嫌い。試合に負けて泣きますからね。実はドラフト前、最終戦になった10月25日の青学戦で久々の完封だと思ったら、外野がポロッと落として完封を逃したんですよ。そうしたら、いきなり血相変えて投げ始めてね。そこまで楽に投げてたのに、148キロくらい放るんですよ。怒ってそれぐらい出すんだったら、最初からもっと速く放れよって思いましたけどね。ああいうところが藤岡はだめだったんですよ。泣くんなら見えないところで泣け。お前が泣いたらエラーしたヤツはどうするんだって。それでドラフトでも泣くからね。でも、いちばんいいのは負けず嫌いで、登板拒否はしないことです」
 
 お話をうかがって、あぁ、高橋監督は藤岡の一本気なところが可愛いんだなぁと微笑ましかった。だから僕はプロ入り1年目から藤岡に注目していたのだ。ロッテ入団後は初先発初勝利を飾る等、大脚光を浴びたのだが、そこから年々、何となく地味な存在になっている。「大学ビッグ3」の期待感からほど遠いと言わざるを得ない。
 
 ファイターズは何か藤岡復活の勝算を持っているのだろう。力量は1軍でも2軍でも当たっているから、知り尽くしている。このところ日本ハム球団の戦略で興味深いのは「ドラ1再生」路線だ。他球団で伸び悩んでいるドラフト1位の素材をトレードで獲得し、再生させるのだ。大田泰示がモデルケースだと思う。今季は右肩の故障を慎重にケアしながら杉浦稔大を先発起用している。その路線に藤岡貴裕が加わるのだ。僕はいずれ藤浪晋太郎も本気で獲りに行く気がしている。
 
 ハムのドラフト戦略は競合を避けないし、菅野智之や大谷翔平のケースがそうだったようにタブーに挑戦する。結果、清宮幸太郎のように当たることもあれば外れることもある。そして、菅野のように逃げられることもある。目玉ルーキーを外した場合、チーム編成が徐々に小粒になってしまうのだ。それを避ける戦略の一つが「ドラ1再生」路線だ。トレードの妙で、ハムは「2008年ドラフト競合で大田泰示」を獲り、「2011年ドラフト競合で藤岡貴裕」を獲り、「2013年のドラフト競合で杉浦稔大」を獲ったのと同じことになった。まぁ、わかりやすく言えば2011年ドラフトで菅野を強行指名し拒否された分を、藤岡再生で埋め合わせるような発想だ。
 
 注目したい。栗山さん絶対、先発で使うなぁ。藤岡貴裕ファイターズへようこそ、これからじゃんじゃん仕事してもらうよ!
 
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