レアードの寿司から横尾のおにぎりまで……ファイターズごはんもの応援の系譜【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#82】
最近横尾俊建が登場すると、おにぎりで応援するファンを見かけることが多くなった。
2018/08/12
リアルでもサンプルでも、おにぎりで応援
8月9日(野球の日?)の楽天戦中継(GAORA)を見ていたのである。ワンサイドで負けていた。「堀瑞輝vs藤平尚真」の同級生対決は堀が打ち込まれ、藤平はスイスイ。近藤健介のバースデーアーチを期待したが、そう都合よく飛び出すものでもない。7回裏、ラッキーセブンの攻撃に時点で0対7だった。つまり、見てるこちらもダレていたと思ってほしい。あ、最初に断っておきますけど、今週はのんきな話ですよ。
代打・横尾俊建が出てきた。ちょっと最近ご無沙汰だけど、一発デカいのかっ飛ばして流れを変えてくれないかな。カモンおにぎり弾! 横尾は通称「おにぎり君」だ。札幌ドームのレフトスタンドには、おにぎりのかぶりものを装着したファンや、おにぎりイラストバナーを用意したファンがすんごい増えている。皆、豪快なスイングと愛敬あるキャラクターに魅了されている。
と、カメラが一人の女性ファンをアップでとらえた。手におにぎりを持っている。一瞬、ホンモノに見えたが、どうもホンモノそっくりの模造品、たぶん食品サンプルか何かだ。東京なら合羽橋の道具街で手に入れるようなやつだ。おお、こういう自前の応援グッズもアリなのかと感心した。さっそくスマホで「おにぎり 食品サンプル」を検索、自分も何らかのおにぎり活動ができないか検討に入る。
おにぎり応援に関しては半月くらい前だったろうか、札幌ドーム中継でもう一件、強烈な印象を残した事例があった。これも女性ファンだ。手におにぎりを持っている。そのおにぎりがラップにくるまれた本当の手製のおにぎりなのだ。真のおにぎり。そのラップにくるまれたおにぎりを振りながら「おにぎり君」を応援している。僕はすごく深いと思った。それは一義的には応援グッズなのだ。応援グッズでありながらおなかが減ったら食べることもできる。「応」「食」の2刀流というのか。素晴らしく自由度の高いアイテムではないか。
そのとき「リアルおにぎり」応援を見て、思い出したのが、ファイターズの北海道移転1年目の出来事だ。春先の試合だった。オープン戦初戦かなぁ。ひょっとすると開幕戦だったかもしれない。とにかく北海道のファンにとっては「ホームゲーム事始め」のような意味を持つ試合だ。球場ゲートに長蛇の列。ゲート入り口で手荷物検査を実施していて、食べ物の持ち込みをチェックしていた。それは新聞でも報じられたんだけど、けっこうショッキングな光景だった。観客が家から持ってきたおにぎりお弁当、それから近くのスーパーで買ったのりまきとか唐揚げパックの類がゲート脇のゴミ箱にガンガン捨てられている。
すぐゴミ箱は山になった。僕は(いかに持ち込み禁止だとしても)食べ物を捨てるのに抵抗がある。捨てられてるなかには、お母さんが台所で握って持たせてくれたおにぎりもあっただろうと思う。まぁ、「ホームゲーム事始め」だから啓蒙というのか教育的指導というのか、食べものは球場内で買わせるように最初にガツンと行ったのかもしれない。野球産業はそうやって潤って、回っていく仕組みなのだ。その考え方はわからなくもないが、実際に目にしたのはあまりにも無情な光景だった。僕はファイターズが嫌われないといいなぁとハラハラした。
まぁ、その後、札幌ドームは持ち込みに関して、かなり対応がルーズになり、福住駅前のイトーヨーカドーも大っぴらに持ち込み用のフード類を並べるようになっている。まぁ、あんなことが起きたのは最初だけだったのだ。だけど、僕には内心、不安があって、今はお目こぼしをしてるだけかもしれないと思う。いつ何時、彼らが本気出して、食べもの持ち込みを取り締まりださないともかぎらない。僕自身は野球産業の発展を願っているから基本、食べものは球場内で買うんだけど、そういうことじゃなく恐怖しているのだ。
だけど「リアルおにぎり」応援は突破口になり得るかもしれないと思った。だって、「リアルおにぎり」だけどそれは応援に用いるから。係員さんに見に来てもらってもいい。本当にそれで横尾を応援してるのだ。「おにぎり君、握って~!」なのだ。といって9日、楽天戦はあっさり三振食らったわけだが。