トンキン、抑えから先発転向のススメ――「打てない&打たれる」夏バテ解消の打開策【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#83】
夏の終わりに、ファイターズが苦しんでいる。打線はチャンスを築くが点が取れず、一方投手陣は先発がゲームを作れない。また、リードしていている試合でも終盤にリリーフ陣が打ち込まれ勝ち星を逃す展開が続いている。
2018/08/26
投打が噛み合わない夏
夏が行ってしまう。草薙球場&東京ドームで変則開催されたソフトバンク3連戦はスイープを食らった。これで5連敗、よもやの3位転落だ。チームが完全に夏バテに見える。打ち出の小槌のように振ればヒットだった近藤健介の当たりが止まっている。僕らはコンスケでも不調になるんだなと妙なところで感心している。この近藤不調と、大田泰示の戦線離脱が打線に影響している。中田翔はだいぶ上向きだが、なかなか点が取れない。タイムリー欠乏症で残塁の山だ。
で、もっと深刻なのが投手陣だ。シーズン前半、安定していた上沢直之、マルティネスがここへ来てつかまりだした。そりゃ敵も研究してくるのだ。有原航平は依然として壁にぶつかったまま。先発組では村田透が仕事をしているが、高梨裕稔、加藤貴之はローテはく奪だ。ということは先発が安定しないわけで、必然的にリリーフ陣は仕事が増える。暑さ、移動疲れも加わり、勝ちパターンの継投陣もガタガタだ。僅少差で逃げ切るファイターズの野球ができない。
つまり、まとめると「打てない&打たれる」のだ。これは勝てない。戦績も8月に入って急降下、今季対戦成績のよかったソフトバンク戦もこのところやられっぱなしだ。ファイターズはソフトバンク戦の貯金を使い果たすと、実は5割そこそこの成績なのである。草薙&東京ドはせめて一つは取っておきたかった。
と、胸に去来する名前がある。振り払っても振り払っても、心の奥の闇の部分からぬわーっと浮かび上がってくる名前だ。
トンキン。
直近に見たソフトバンク22回戦のせいだろう。ちなみに本稿執筆現在は8月24日のお昼をちょっと過ぎたあたりだ。まだ昨夜の悔しさがぬぐえないでいる。昨夜はトンキンが散々だった。
試合はプロ初先発の「東大卒ルーキー」、宮台康平がよくやってくれたのだ。4回2/3を投げて4被安打、2失点。与四死球だけ6と多いが、これは吉井ピッチングコーチが「ルーキーなので四球は何個出しても怒らないと言った」とコメントしている。少なくともこの3連戦先発した有原(6回2/3、10失点)、村田(4回1/3、4失点)と比べてもいちばん試合をつくってくれた。ファイターズは那覇で上原健太が投げ、帯広で杉浦稔大が投げる「ご当地登板」のパターンがあるが、もしかすると東京ドームは東大本郷キャンパスのある文京区の「ご当地登板」だったかもしれない。
得点経過は6回裏、代打・田中賢介が渋いヒットで同点にしてくれたのだ。球場は盛り上がった。苦しいときはベテランの力だ。絶対勝つぞファイターズ! そうしたら8回リリーフに立ったトンキンが試合を壊してしまった。打者7人、2/3投げて2四死球3安打の4失点。クロスゲームの緊張の糸が切れる。球場はため息に包まれた。皆、うすうすイヤな予感はしていたのだ。このところトンキンは打たれている。それがシンプルに技術的なものなのか、暑さや疲れでキレを失ってるせいなのか、あるいは対戦相手に攻略法を見出されたのか、僕にはわからない。現象面で言えることは四球が多い、ランナーをためて痛打を食らう。