安田尚憲、実り多き8月。一軍の経験が活きた3試合連続ホームラン【マリーンズ浦和ファーム通信#47】
ドラ1ルーキー・安田尚憲にとって、8月は一軍でプロ初ヒット初打点を記録するなど真剣勝負を身を持って体験した1カ月となった。
2018/08/31
千葉ロッテマリーンズ
プロ初ヒットは貴重な同点打
「神様、ありがとうございます!」。
打った瞬間に思わず口にしたくなるほど嬉しい一打だった。マリーンズのドラフト1位ルーキー・安田尚憲内野手は8月12日のバファローズ戦(京セラドーム)でプロ初ヒットを放った。場面は2点ビハインドで迎えた九回二死満塁。一打が出れば同点。凡退なら試合終了というシビアな場面で打席が回ってきた。
「どんな球が来ても食らいついていこうと思っていました」
マウンドにはバファローズで今季、ブレークし神童と呼ばれる山本由伸が立ちふさがっていた。10打数ノーヒットで迎えた打席。初球フォークを見逃し、ボール。2球目もフォークでファウル。3球目もフォークでボール。4球目150キロストレートに差し込まれファウル。これでカウントは2-2となった。
「膝がガクガク震えていた」と本人が振り返るこの場面で待っていたのは多投されたフォークではなく、あくまでストレート。次の球のフォークもファウルし迎えた6球目だった。狙いと違い、山本が決めに来たボールは低めに落ちるフォーク。読みとは違いながら必死にバットを合わせてはじき返した。
「ストレートとフォークで攻められていた中で自分はストレート狙いでした。ただ2ストライクに追い込まれてからは直球を狙いながらもどんな球が来ても食らいついていこうと思っていました。正直、打った瞬間は一塁手にとられると思った。祈りながら走りました」
注目を一身に集めてマリーンズに入団をした大物ルーキーの打球は一塁手のグラブをかすめ右前に転がっていった。三塁走者に続き、二塁走者も生還。起死回生の見事な同点打だった。打った若者も一塁ベース上で何度もガッツポーズを繰り返した。記念すべき初ヒットは家族、親族、友人などが沢山見守る地元大阪で生まれた。
試合は結果的に延長十回にサヨナラ負けを喫したが井口資仁監督も「九回二死満塁で同点打を打てるわけだからね。なかなか打てるものではないよ」とルーキーが見せた粘りの一打を高く評価した。