表と裏。2つの顔を持つ原巨人流の補強
故障者や主力打者の不振に悩まされながらも、4月23日時点で首位にいる巨人。開幕早々に正捕手失格の烙印を押された小林の起用法や、先日入団発表を行ったフランシスコの獲得などからは、原巨人のしたたかな戦略が見える。
2015/04/24
阿部の故障でめぐってきたチャンスを小林はつかむ
災い転じて福となせるのは、名将に必要な条件の一つだろう。
巨人・原監督が捕手に再コンバートした阿部慎之助が、17日の阪神戦で左太もも裏を肉離れ。開幕直後の危機に頼った大黒柱が、まさかの長期離脱を余儀なくされた。
このピンチで再び脚光を浴びることになったのが、2年目捕手の小林誠司だった。
この試合では1回に阿部の代走で出場し、そのままマスクを被り出場。19日にはスタメンスマスクを18日ぶりに任され、延長11回に決勝打となる2点適時打を放った。22日の広島戦は菅野、沢村を零封リレーに好リード。捕手を務めた3試合で、チームを3連勝に導いてみせた。
阿部の再コンバート以降、原監督はいつ小林を捕手に戻すのかに、注目してきた。実際、阿部が負傷した17日まで、ほとんど出場機会はなかった。途中からでもマスクを被らせたのはその前日16日のただ1試合だけ。開幕から6試合で正捕手失格の烙印を押した25歳に、そこまではチャンスの芽さえ与えなかった。
22日の試合後、原監督は「いいリードをした。非常に落ち着いていた。彼の中で自信というか、エネルギーに変わっているなと感じる」とコメントしたという。一定の評価を与えたわけだ。
前回阿部のコンバートの裏で、見方を変えればこれも原監督流の小林への指導法であり、愛の鞭なのではないか、と記した。阿部の長期離脱がなければ、再びチャンスを与えるのがいつになったのかはわからないが、その時は来た。そして、小林もその時への準備を怠らず、結果で応えてみせた。
現在は実松一成との併用が続くが、結果を残し続ける限り、小林のマスクが増えていくはず。次なる分岐点は阿部、そして相川亮二が故障から復帰したところで、原監督がどんなタクトを振るうのか。限られた期間内で結果を積まなければならず、小林への手綱は決して緩まることはない。