表と裏。2つの顔を持つ原巨人流の補強
故障者や主力打者の不振に悩まされながらも、4月23日時点で首位にいる巨人。開幕早々に正捕手失格の烙印を押された小林の起用法や、先日入団発表を行ったフランシスコの獲得などからは、原巨人のしたたかな戦略が見える。
2015/04/24
新外国人獲得が意味するものは?
そして、新たな黒船の上陸である。新外国人、ホアン・フランシスコ。メジャー通算48本塁打を誇る大砲だ。110キロを超す巨体で、メジャーでは主に一塁と三塁を守った。
調子を取り戻しつつある原巨人だが、懸案は当初レギュラーと目した阿部の抜けた一塁と、三塁手・村田修一の状態が今ひとつ上がってこないこと。その2点を刺激する補強であるのは明白だ。
阿部のコンバート以降、一塁は主に井端弘和が務めてきたが、元来長打力が求められるポジション。三塁の村田には8番降格などの荒療治に出てきたが、もう一つ尻を叩く必要があると判断したのか。5月上旬には1軍デビューする見込みで、セペダ、アンダーソンのキューバ人2人もうかうかしてはいられない。
チームはここまで22試合で、リーグ4位の8本塁打と、持ち前の一発攻勢が鳴りを潜めている。長打力の底上げは、チーム全体を見渡しても必要な補強ポイントだった。
そのフランシスコだが、大砲タイプと言えば聞こえはいいが、実際には穴が多く巨大扇風機になりかねない。メジャーに定着した12年以降は三振が安打数を大きく上回っている。メジャー通算235安打に対し、三振は375。マイナー時代は両打ちだったが、09年に左打ちに専念して以降、右投手には打率.248だが、左投手には同.159。変化球攻めに苦しむのは明白で、およそ日本球界向きには思えない。
守備にしても日本では一塁専任と考えるのが妥当だ。メジャーに比べて、セーフティーや犠打などバントの多い日本球界では、とても三塁に対応できる肉体ではない。細かなサインプレーにも、適応するには時間がかかる。
決して期待していないわけではないが、救世主として待望の獲得でもないだろう。もちろんフランシスコが予想よりも早く日本野球に適応し、快音を連発するうれしい誤算なら大歓迎。仮にそのシナリオは、半ば予想どおりに裏切られたとしても、既存戦力への大きな刺激となるのは間違いない。
表と裏。2つの顔を持つ原巨人流の補強。表面的には失敗に終わろうと、ただでは転ばないしたたかさが、獲得の裏に透けて見える。
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