吉見一起は、トミー・ジョン手術の「最新の成功例」になるか?【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、トミー・ジョン手術を受けて、見事な復活を果たしている吉見一起についてだ。
2015/04/24
今季3試合の登板内容は?
では、今季の3試合について詳細に見ていこう。
4月1日の巨人戦の投球内容だ。
味方が次々と加点する中で、無難な投球を続けた。坂本を3三振に切って取ったのが大きい。
1回、アウトコースに142km/hの速球を投げ込みスライダーを2球挟んでフォークで空振り三振。3回は二死で走者を二塁においてまたフォークで空振り三振、6回はフルカウントからスライダーで見逃し三振。
いずれも外側に抜群の制球力を見せて最後は変化球で仕留めた。
4月12日のDeNA戦。左打者が上位に並んでいる。
1回一死1、2塁では、DeNAの主砲・筒香には、初球、外側にスライダーを見せてからインコースに2球投げ込んで追い込み、最後はフォークで投ゴロに打ち取った。
強打者の内懐を思い切って攻めることができていた。
4月23日のヤクルト戦は、目の覚めるような投球を見せた。
この日、吉見は9つの三振を奪ったが、決め球がフォーク、シュート、スライダー、4シームと多彩だった。6回の山田哲人を除く8つの三振が空振り。
速球は140km/h台前半だが、制球と球のキレ、緩急自在な配球によって、打者を翻弄した。
吉見は中10日で登板している。球数も100球までに制限されているようだ。
いわば「仮免」状態だが、やがてこれが解除されることで、中日の投手陣はさらに戦力アップとなるに違いない。
トミー・ジョン手術明けの大活躍と言えば、オールドファンは30年前の村田兆治の快投を思い出す。当時としては異例に長い「中6日」の登板間隔で毎週日曜日に好投した村田は「サンデー兆治」と呼ばれた。
「生まれ変わったようだ」という当時の村田のコメントが印象的だった。
吉見も同様に思っているのではないか。次回、どんなパフォーマンスを見せてくれるか、楽しみだ。
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