好調ヤクルト投手陣を支える、正捕手・中村悠平の「IT化」【新・燕軍戦記#3】
東京ヤクルトスワローズの好調が続いている。同率首位同士の対決となった巨人との3連戦に2勝1敗と勝ち越し、4月27日現在で1ゲーム差をつけて堂々の首位。好調の最大の要因は、現在も両リーグで唯一の防御率1点台を誇る投手陣だが、それを支えているのが正捕手の中村悠平である。
2015/04/28
苦い経験をさらなる進歩の糧に
この週末の巨人との3連戦でも、「IT化」された事前準備がモノを言った。前日までは中日との3連戦で名古屋に遠征。以前はできなかったことだが、宿舎でiPadに収められた巨人打者の映像に目を通し、対戦をイメージした。そのなかには前回、4月10日から東京ドームで戦った時には一軍にいなかった橋本到やレスリー・アンダーソンの映像もあった。
特に16日の一軍昇格以来、3番打者に定着し、この直接対決を前に打率.455と打ちまくっていた橋本は、今の巨人打線にあってキーマンと言うべき存在である。映像を見る限り、その橋本は落ちる球を打っていない──。
24日の初戦、25日の2戦目とも、走者を置いた場面では、その「落ちる球」で橋本を抑えた。24日は5回表2死一、二塁から小川泰弘のフォークで一塁ゴロ。25日は8回表2死三塁から石川のシンカーで見逃し三振。26日の3戦目では、今季初先発の八木亮祐が1回表1死三塁からチェンジアップを打たれて先制を許したが、これもゴロになった打球が一塁の横を抜けていったものであり、けっして狙いから外れていたわけではなかった。
だが、1対4で敗れたこの26日の試合、中村には悔いの残る配球があった。1点のビハインドと、まだ試合がどちらに転ぶかわからなかった8回表。2死一、三塁から4番手の秋吉亮が8番の小林誠司にスライダーを中前に運ばれた場面だ。
「小林も(新人だった)去年とは違って、ああいう(相手にとって)1点もやれない場面では『真っ直ぐは来ないだろう。変化球でかわしてくるだろう』って考えたと思うんです。そこをうまく狙われて、センター前にはじき返されてしまった。あそこは僕も腹をくくって、その前の(ボールになった)スライダーを見逃した時に『あ、スライダーをマークしてるんだな』と思って、もっと強気というか真っすぐでドンと勝負すればよかった。そこが今日の反省点です。ヤマを張ってくるバッターだし、ああいうところはもっと駆け引きが必要だったと思います」
もちろんその苦い経験も若い中村には糧となり、捕手としてのさらなる進歩につながる。
「今日のことは反省して次に生かさなくちゃいけないし、やっぱり負けた試合は反省すべき点がたくさんあります。どうすれば結果がついてくるのかっていうのを今年1年で勉強させてもらってると思いますし、この1年を乗り切ったらすごく自信になりますよね」
シーズンはようやく開幕から1カ月が過ぎたばかり。ヤクルトにとって14年ぶりのVに向け、燕の正捕手・中村の戦いはまだまだ続く──。
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