日本球界に前例のない根尾昂。“逸材”を獲得した中日の使命、指揮官が語る育成
2018年のプロ野球ドラフト会議で最大の注目を集めた大阪桐蔭・根尾昂内野手。4球団競合の末、交渉権を獲得したのは中日ドラゴンズだ。内外野守備、投手、優れた打撃力と多彩な才能を持つ逸材をいかに育てるのか。
2018/10/26
Kana Yamagishi
スキー競技で培った身体能力から生まれる根尾ならではのプレー
根尾はこれまで日本球界に存在しなかったタイプで、小園はこれまでに球界を代表した選手の最高に近い選手だということである。
日本の野球界において、育ててきた前例が多いのは小園のようなタイプだ。広範囲の守備力はもちろん、ミートポイントを前目に置いたバッティングは、かつての名選手・立浪和義などと重なる部分がある。どのようにして育てていけばいいのかは、そう難しい問題ではないだろう。
一方の根尾はこれまでにいない選手だ。
バッティングではアーチストに多いミートポイントを捕手寄りしたアプローチでコンタクトしていく。守備面は堅実に両手でさばいていく日本人らしさはなく、片手捕球を普通にする。ジャンピングスロー、ランニングスローも彼のプレースタイルの一つだ。
一見、派手なスタイルとも捉えられるが、彼の身体の使い方がそうしたプレーを生み出している。幼少期からスキーに競技者として取り組んでいたため、体幹が強く、その特性を生かそうとすると、打撃にしても、守備にしても、これまでとは違ったプレーを見せるのだ。
「投手時のベースカバーに行く身体のターンが速い」
「ダイビングキャッチしてから立ち上がりが俊敏」
「捕球してからボールを持ち変えスピードが違う」
「ペタジーニのような独特な打ち方」
これらは大阪桐蔭の首脳陣が漏らした根尾の特性だ。そのスタイルを古来の野球に縛られてきた指導者が受け入れられるかどうかは、彼の育成において重大な問題になってくるであろう。
小園に比べると、根尾の育成はその点が非常に難しいのだ。