【日本Sを読み解く】先勝の広島、打線が見せたセ王者の凄み “強い直球”への意識が生んだ高い適応力
「SMBC日本シリーズ2018」第2戦が28日、マツダスタジアムで行われ、広島東洋カープが5-1で福岡ソフトバンクホークスを下して1勝目を手にした。初戦を引き分けで終えた両者。広島が先勝した勝負のポイントはどこにあったのだろうか。
2018/10/29
価値ある丸のシリーズ初安打
広島打線の凄みは、イニングを追うごとにバンデンハークのボールにアジャストしていったところだ。
バンデンハークは150キロを優に超えるストレートとナックルカーブで、散らしながら抑えていた。左打者には外から入ってくるナックルカーブで打者の目線を上げると、今度はインコース低めにズドンとストレートを投げ込んでいく。右打者の場合は、アウトローのストレートとスライダーを出し入れし、忘れたころにナックルカーブで抑えた。
そのバンデンハークを5回に完全に打ち崩した。
丸はインコースのストレートをとらえた5回裏の打席をこう振り返っている。
「特にストレートを狙っていったわけではなかったんですけど、バンデンハークは初回から飛ばしてきていたので、ストレートの球威が少しずつ落ちてきているなという風には思っていました。その中、うまく反応していけたと思います」
1死一塁から右翼線への二塁打。このチャンス拡大がどれほど価値のあったものであるかは推して知るべしだろう。「シリーズ初安打」という話題はメディアにとって格好のエサだが、この試合におけるこの丸の安打の価値は小さくなかった。
続いた鈴木の適時打もまた見事だった。彼が捉えたのは、強いストレートではなく、カーブとスライダーの中間のような変化球だった。
鈴木は言う。
「バンデンハークのまっすぐは強いボールなので、変化球とどっちつかずで待っていても結果は生まれないと思った。まっすぐを意識して、たまたま、変化球が甘いところにきてその失投を仕留めれた。しっかり振れたのがよかったです。このシリーズは、打席に入る前に頭を整理して入れているので、それが結果につながったのかなと思います」
さすがはセ・リーグ屈指の打線だ。力強く速い球を投げるバンデンハークのような投手はセ・リーグにはそういないが、まずは強いストレートを意識しながらアジャストしていったのは広島打線のレベルの高さゆえだ。
もっとも、この投手戦を制したのは、広島の先発のジョンソンによるところが大きい。